ゲームライターコミュニティ第26回勉強会「E3 2018報告会」レポート


ゲームライターコミュニティ第26回勉強会「E3 2018報告会」を、東京都品川区にある株式会社アカツキのセミナールームにて6月25日(月)に開催しました。

第26回勉強会

ゲストにお招きしたのは、今年6月にアメリカで開催されたゲームイベント、E3を現地で取材したフリージャーナリストの西田宗千佳さんと、「電ファミニコゲーマー」編集部のクリモトコウダイさん。司会進行役は、同じく現地取材を行ったゲームジャーナリストの小野憲史氏が務めました。

一般来場者が激増、E3会場外で独自イベントを行うメーカーも出現

西田宗千佳さん

西田宗千佳さん

西田さんによると、従来のプレスカンファレンスは1日か2日前にだけ行うものでしたが、現在はどんどん拡大しているとのこと。さらに、昨年から一般の入場者も有料で入れるようになったことから、プレスと業界人だけのイベントではなくなったことをポイントとして挙げられました。一般客の来場者が激増した結果、チケットは高価ながらも大人気なのだそうです。

また、E3の会場とは別に、周辺の施設を利用して独自の集客イベントを行うメーカーも現れたとのこと。その名もズバリの、「EA PLAY」と題したイベントを実施したEAがその一例です。西田さんによると、一部では同社のプレスカンファレンスであると伝えられましたが、その実は完全なメーカーの独自イベントなのだそうです。さらにはプラットフォーマーであるマイクロソフトもE3会場から撤退し、同じく独自イベントの「MICROSOFT THEATER」(しかも有料で!)を開催したというのですから驚きです。

では、なぜこれらのメーカーはE3会場から出て独自イベントを始めたのでしょうか? その答えは、現在世界中でたいへんな人気を博しているエピックゲームズのゲーム、「フォートナイト」にあると西田さんは指摘しました。西田さんによると、E3会場外では「フォートナイト セレブ+プロアマ」と題したイベントが開催され、またE3会場内のブースでも新作発表を行わずに、行列の絶えないステージを展開していたそうです。

このようなトレンドが生まれたのは、「E3というイベント自体よりも、個々のゲームが持つコミュニティのほうが力を持っている。」からなのだそうです。「熱心なゲームファンは、E3から発信される情報を常時チェックしている。ゲームメーカーも長期的な収益を確保するためには、コミュニティをいかに味方につけるかが重要。」との重要ポイントが指摘されました。

また、SIEはE3の会場を使用していましたが、プレスカンファレンスよりも多くの内容をストリーミング視聴者に対して情報を流し、会場からも常にストリーミング放送を行ったとのこと。すなわち、プレスカンファレンスからカンファレンスを重要視していたことになります。さらに試遊タイトル数を絞り込むことで、体験可能なユーザー数を増やすようにしていたそうです。一方、任天堂は「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」の新作など、圧倒的な人気を背景に会場を有効活用し、ユーザー向けイベントはストリーミングを中心に行うという、過去3年間と同じブース展開をしていたそうです。

今回の取材を踏まえ、西田さんは「会場で人々は盛り上がるものの、体験可能な時間は短い」「カンファレスはストリーミングがメイン」「会場外でイベントを行う企業の増加」という3つのトレンドから、E3はそろそろイベントとして形を変えないとまずいのでは、とまとめられました。

クリモトコウダイさん

クリモトコウダイさん

クリモトさんの発表でも、「E3会場には熱い人が多く、中には65歳で孫を連れてやって来たという来場者もいた。」との証言がありました。入場者数は昨年よりも38パーセント増加し、コアなゲームファンにとっては「ゲーマーであれば、そこは行かなければいけない場所。」という位置づけとなり、なおかつ一般層の来場者も増えた印象を持ったそうです。

メーカーブース内では、キャラクター姿に扮したスタッフがいてブース内の世界観を案内するなど、より一般向けの出展内容になっていたそうです。ブースに物販コーナーを設けたメーカーもあり、雑貨などの品ぞろえが充実していたことから、こちらもたいへんな人気だったそうです。

気になった点としては、「チケットが3日間で1万円と高額」「行列が長い」ことに加え、「自分たちがニュースを書かなくても、メーカーがSNSなどで情報をどんどん流していており、メディアはどう立ち回るべきか。」の3点を挙げました。これは電ファミニコゲーマー編集部内でも事前の議題になったそうです。

その結果、各カンファレンスのレポート記事だけでなく、現地で入手したグッズを読者に抽選でプレゼントするという独自のアイデアを実施しました。この企画はたいへん好評で、かなりの数の応募があったそうです。最新ニュース以外の企画でも読者人気を集めたという事実は、ライター視点から見れば大きな注目ポイントだったのではないでしょうか。

さらに、おふたりの発表後のディスカッションでは……、

・インディーズゲームも盛り上がっていた
・日本のゲームも再評価をされ始めているのでは?
・「任天堂は別として、ユーザーからは日本のディベロッパーではなく、例えば「キングダムハーツ」のようなIPが注目されている。
・業界人同士の交流の場としても、現地での商談は今も重要である
・やり方こそ違うが、ファン向けイベントをやっているという意味では、E3もTGS(東京ゲームショウ)化している

などのキーワードが挙がりました。現地でつぶさに取材をしたみなさんから直接お話が聞けることによって、E3の最新トレンドを知る、たいへんいい機会になったのではないかと思います。

なお、おふたりの発表資料と当日のスライドは、下記リンク先の記事より閲覧ができます。会場で撮影された写真もたくさん見られますので、ぜひご覧ください。

E3 2018報告会を実施しました