みなさんこんにちは。鴫原盛之です。
ゲームメディアにおけるライターは、その仕事のほとんどはゲーム紹介や攻略・レビュー、開発者インタビュー記事であり、いわゆる調査報道を担当する機会は、業界紙の記者の方をのぞくとほとんどないと言えるでしょう。そもそも、現在のゲーム媒体が調査報道による記事をほとんど掲載しないため、ライターがその取材・執筆スキルを身に着ける機会になかなか恵まれません。
とはいえ、ゲームという狭い業界ながらも、メディアに携わる者の端くれとして最低限身に着けるべきジャーナリズムの心得はあってしかるべきではないでしょうか。もし今後、調査報道の仕事をするチャンスが巡ってきた際に「私にはできません。」と断っているようでは、いつまで経っても仕事の幅は広がらないでしょう。
そこで、ジャーナリズムの何たるかを学ぶにあたって、同業者のみなさんにぜひおすすめしたい一冊をご紹介します。
・「フェイクニュースの見分け方」(新潮新書)
・著者:烏賀陽弘道
http://www.shinchosha.co.jp/book/610721/
本書は新聞・テレビだけでなく、近年ネット界隈にあふれる記事の真偽をいかに見極め、正しい事実を得るため方法を詳しく紹介しています。実際のニュース記事を例に挙げ、「事実のないオピニオンは無視してよい」「主語が明示されていない文章は疑う」「引用の正確さで、発信者が事実の正確さにどの程度注意を払っているかがわかる」など、平易な文章で解説しているのでとてもわかりやすいです。また、「WikipediaやNAVERまとめはまったく信用していない」と断じているのもポイントでしょうか(誰が書いたのか、誰が信用を担保しているのかがわからないサイトゆえ至極当然ですが……)。
そして何より、ライターとしての視点で読みますと、「検証には『空間軸』と『時間軸』を広げた『ビッグ・ピクチャー』を描くと突破口になる」「フェアネス原則を守っているかどうかが、まともな報道か否かのリトマス試験紙になる」など、取材記事を書くうえでの基本的な考え方や執筆の心得となる内容がたくさん掲載されており、たいへん勉強になります。
仕事の幅を広げたい、スキルアップをしたいと考えている同業者のみなさんに、ぜひご一読をおすすめします!