はじめまして。
SQOOL(スクール)の加藤です。
加藤とSQOOLの自己紹介
SQOOLは2013年1月に設立された小さな会社で、ゲーム攻略情報メディアを中心に、いくつかのウェブメディアを運営しています。加藤はそのSQOOLの代表です。
またフィンランドに「Sidora Marketing」という関連会社があり、そちらでは主にヨーロッパ地域のゲームを日本向けに作り替えて日本でリリースする「パブリッシング」という事業を展開しています。
ゲームライターコミュニティ参加のきっかけ
このようにウェブを中心にゲーム事業に取り組む中でゲームライターさんの力を借りることも多く、まだ新しく未熟な会社であるSQOOLがゲームライターさんとどのように協力していくべきか、またライターさんにとってよりよい環境をどう作っていくべきか、そしてゲームファンをどう喜ばせ、ゲームデベロッパーの力になり、最終的にゲーム事業としての価値をいかに高めていくべきかを常に考えてきました。
2015年の夏に「ゲームライターコミュニティ」の存在を知り、ゲームライターさんと直に接してその環境や考え方を知るという目的で参加しました。
メディアから見たゲームメディア&ライター界隈の問題点
ゲームメディアを立ち上げて、そのメディアがそれなりに育ってゲームライターさんの力を借りるようになって感じたのは、メディアとゲームライターさんとの間に多くの問題点があるということでした。
・記事報酬があまりに安い
・ライターへの権限譲渡が少ない
・情報共有の圧倒的不足
ある日ライターさんと電話で打ち合わせをする中で
「こんなに依頼料をもらっても大丈夫ですか?赤字になってつぶれてしまいませんか?」
と心配されたことを今でも鮮明に覚えています。
ライターさんに業務を移管しはじめてから数か月の頃で、まだ業界の相場を知らずに私が思う適正な価格よりも少し安い金額で、むしろ申し訳ない、という気持ちで金額を提示しましたが、一般的なゲームメディアの相場からはかなり高いようでした。
「ライターさんはこの報酬で生活は成り立つんだろうか」
と心配したものです。
運営を進めるうちにメディア界隈の話をライターさんから少しずつ聞くようになり、
「記事が公開されるかどうか教えてくれない」
「公開されてもアクセスの状況が共有されない」
「どのメディアに掲載されるか教えてくれない」
「とにかく報酬単価が低い」
などなど、ゲームメディア業界側の問題を知るようになりました。
もちろん素晴らしい運営体制のメディアも多くあり、「愚痴」として上がってくる話は目立つゆえに印象に残りやすいということもあると思います。
しかし実際問題として、クラウドソーシングの台頭などを理由とするライターの報酬単価の下落や、メディア側の古い体制による非効率と保守的な情報統制、そしてライターの立ち位置の弱さに甘んじる業界の体制が確かにあるように思われました。
ゲームメディアの立場とゲームライターの立場
ウェブメディアは恐らくは紙のメディアの文化をかなり踏襲しており、そのため広義にはIT業界でありながらそのメリットである「即応性」「柔軟性」をあまり生かせていないところがまだまだ多いと感じます。
一方でそれはライターさん側にもそのまま当てはまり、時代の流れとともにユーザーの情報への接触媒体がスマホへ移行した今においても、紙媒体に寄稿するような態度でウェブメディアに接している、ことが多いように感じられます。
メディアはメディアでライターさんの立場の弱さに甘んじで収益モデルを不健康に組み上げる。
ライター側もその問題を解決しようとする動きが弱くむしろそれに追従して安い仕事を得ようとする動き、それにより更なる立場の弱体化、という悪循環。
原因は色々とあり、一つは「記事のPVがそのまま記事の収益に直結する」というウェブメディアの収益モデルにライター側が未だに慣れていないということですが、
根底にある本質的な要因は「メディアがそのあたりの事情をライター側に共有していないこと」と、「ライター側もその辺の情報を個人単位でのノウハウにとどめてしまっていること」かなぁ、というような気がします。
フリーのライターさんは自分の市場価値を高めるには、基本的には自分自身で戦って自分のブランドを高めていかなければなりませんが、あまりにもメディアとライター間の、そしてメディア同士、ライター同士の情報共有がないために、よほど戦闘力の高いライターさん以外は「良いメディアに巡り合うことを祈る」以外の手段がないようにも感じられます。
これはゲーム業界のより良い発展にとって決して良いことではないでしょう。
ゲームライターコミュニティでやりたいこと
そんなことをもやもや考えていましたが、幸いにしてメディアとしてゲームライターコミュニティの運営に潜り込むことができました。
メディアはそれに対してどう考えているのか、何を求めているのか、その考え方はメディアは受け入れるのか受け入れないのか、もっと即物的なところではどのような表現でメディアに伝えれば企画が通るのか、ぶっちゃけどういう記事ならより高い報酬を払うのか、などをゲームライターさんに伝えることで、メディアとゲームライターがよりよく儲けるようになれば、と考えています。
特にキャリアの長いゲームライターさんの知識やスキルはゲームメディアとしては喉から手が出るほどに欲しいものです。本来それはメディアの収益に繋がるはずですが、メディアがその知識やスキルの価値を正しく認識していなければそれは叶いませんし、ライター側もメディアの収益構造を理解していないとメディアの収益に寄与することができず、つまりメディアがもうからずライターの報酬も上がらないということになります。
優れた記事だからそのまま高い報酬を払える、というような単純な仕組みでは今はありません。
「メディアっていうのはですね」とライターさんに伝えることで、意思疎通ができる場を醸成していければよいなと思っています。それが結局は最終的に情報に触れるユーザーの利益になり、ゲーム業界を盛り上げ、デベロッパーさんの利益になり、メディアとライターにも返ってくる、でしょう。
そのようなことを考え、今年はいくつかの企画をSQOOL主導で立ち上げ勉強会を実施しました。
「ゲームデベロッパーとゲームライターのあるべき関係」では、中年騎士ヤスヒロで知られるポラリスエックス社の住田氏をお招きして、ゲームデベロッパーがゲームライターに何を求めているか、を講演していただきました。
ゲームデベロッパーのニーズを直接知ることは、ゲームライターにとってメディアに先んじる武器になるはずです。メディアとしてもゲームライターさんから上がってくる確度の高い企画は歓迎すべきものです。
ゲームメディアの収益構造をゲームライターさんがあまりに知らないことから「ネットワーク広告を学ぼう」というテーマで、スマホ広告のnendから担当者をお招きした勉強会も実施しました。
得られる収益以上の報酬をライターに払うメディアはあまりありませんから、メディアの収益構造を知っておくことはゲームライターのサバイバリティ(生命力)を上昇させるはずです。
それはライターの仕事、それはメディアの仕事、と押し付けあうのではなく、お互いの業務と立場を知ることでより良い構造を作っていければいいな、と加藤は考えています。
それがゲームメディアと、ゲームライターの、最終的には収益につながり、より豊かな環境での情報発信の場を整えるはずです。それはゲームファンにとっても間違いなく良いことです。
きれいなだけの話ではなく、要するにその方が儲かると思うのです。
最後に
ゲームライターコミュニティは誰でも参加可能です。
是非お気軽にご参加ください。
個人的にはメディア側の参加者がちょっと少ないのでもう少し増えるといいな、と思っています。
加藤の言うことはちょっと違う!俺は(私は)こう思う!とかも大歓迎ですので、我こそはというメディアの方はぜひご参加をお待ちしております。