Web系のゲームメディアの編集者の皆様、最近ゲームライターが挙げてくる記事に対して、ちゃんと赤入れをされていますでしょうか? ゲームライターの皆様は、自分が書いた記事に対してダメ出しなり、赤入れをもらった経験がありますでしょうか?
実際のところは僕もよくわからないですし、それこそケースバイケースだと思うのですが、総じて赤入れやダメ出しの機会が減っているのではないかと思います。
理由は簡単で、編集者の側に余裕がないから。ちょっとした赤入れなら自分で直して掲載しちゃう。かなり大きな直しが必要でも、文意が間違っていなければ、そのまま載せちゃう。時にはメールで修正記事を送ったり、Skypeで修正意図を伝えたりして、ライター側とやりとりを続ける課程で、ライター側が面倒くさくなって逃げてしまう・・・なんてことがあるかもしれないですね。
自分もゲーム批評の初期の頃は、かなりみっちりと赤入れをして、ライターさんに直してもらっていました。そうしないと編集長のチェックが通らず、雑誌に掲載できなかったからです。ただ、それも余裕があった頃までの話で、だんだん編集部から人がいなくなっていくと、「細かいところは自分で直して掲載する」「大きな直しの時は全ボツにして、原稿料だけ払って次回から発注しない」というスタイルに変わっていきました。その結果、適切な赤字を入れて新人ライターを育てることが、次第に不可能になっていきました。
んでもって、僕も経験があるので自戒をこめていうと「プロのライターは自信満々で間違える」んですよね。そう思い込んじゃっていて、つるっと間違いを書いてしまう。編集側も記事チェックの体制が痩せていますから、ネームバリューを信じて、そのまま載せちゃう。その結果、雑誌が出た後でツッコミを受け、次号で訂正記事を載せる・・・なんてこともありました。今ならネットで大炎上、という感じだと思います。余裕がね、余裕がないんですよ。まあ、それは言い訳に過ぎないんですが・・・。
そして2017年4月。東京ネットウエイブの非常勤講師として「ゲームメディア概論」の授業を受け持って、何度か学生に記事執筆の演習をしてもらいました。最初のうちこそ、一つひとつ記事を読み込んで、赤字を入れようと思っていたのですが・・・甘かった! 学生は数十人でこちらは1人。授業は毎週のようにあるわけで、いちいち赤字を入れて返していたら、とても時間が足りません。しかもOKが出なければ収入にならないプロの仕事と異なり、学生の課題では何度も修正を重ねるうちに、次第に双方のモチベーションが途切れていくのも事実。何か良いやり方が必要でした。
今回、3月26日のセミナー「ゲーム専門学校でゲームライターを育てる授業をやってみた」の後半で、サンプル記事に赤字を入れるワークショップを行おうと思ったのも、一つにはこうした過去の失敗談があります。記事の間違いを適切に示して、モチベーションを保ったまま修正を行ってもらい、ライター自身の成長につながるような赤字って、どうやって入れたら良いのか? このあたりを実際に手を動かしながらやってみて、いろいろディスカッションができればと考えた次第です。他人が入れた赤字って、そんなに見る機会がないですよね。ぜひ、ご参加いただければ幸いです。