ゲームライターコミュニティでは2018年9月5日に第28回勉強会「ライターのためのイベント・ワークショップ」をアイモバイル・セミナールームで開催しました。ゲーム『ぷよぷよ』『バロック』などで知られる米光一成氏がゲスト講師をつとめ、多くの新規参加者で盛りあがりました。
ゲーム作家・ライターとして幅広い分野で活躍中の米光氏。近年では宣伝会議宣伝ライター講座などの講師業をつとめるかたわら、アナログ・ボードゲームの企画ワークショップ(池袋コミュニティ・カレッジ「ゲーム作り道場」道場主)なども運営されています。講義もゲームにかかわらず、幅広い分野で応用できる内容となりました。
ライターは記事を書いて発表する際、一つのテーマで複数のメディアに情報を出していけば、より高い収益性が実現できる。そのためには自分が得意なテーマでイベントを企画するのが早道で、イベントに参加した人々の中から、また新しい人脈が生まれる・・・。米光氏はそのように切り出しました。
例としてあげられたのが、ライターの井上マサキ氏が出版した書籍『たのしい路線図』です。もともと路線図マニアだった井上氏が、トークイベント『路線図をただながめて「いいねぇ~」というオフ』を企画。そこから、あれよあれよという間に書籍の出版が決まり、今では本分野の第一人者になったといいます。
米光氏も自身が1990年代末に新宿ロフト・プラスワンで開催したトークイベント「ファミコン千本ノック」について紹介しました。マニアックなファミコンソフトを遊びながらお酒を飲むというもので、米光氏は「当時、ファミコンをふりかえるってあまりなかったから、お客さんがめちゃくちゃ来た。ほとんど男子だったけど」と振り返りました。
勉強会の後半では特製ワークシートを用いて、イベント企画ワークショップが行われました。まず、自分が興味のあるテーマを10分間で、できるだけたくさん書き出していきます。ワークシートに表示されたマス目は115個で、5秒に1個書いていかなければ間に合いません。
ここで米光氏は「1つのテーマを思いついたら、そこから派生するサブテーマをどんどん上げていくのがコツです」と補足しました。ドライブに興味があるなら、地図、道の駅、車種、カーナビといった具合に、枝葉を広げていくというわけです。実際、ベテランライターほど項目を埋めやすい傾向がみられるといいます。
続いて、上げられた項目を元に企画してみたいイベントタイトルや、ゲストに呼びたい人、セールスポイント、キーワード(タグ)などを書き込んでいきます。ここで重要なのは「できるか否か最初から制限を設けないこと」と、「マスではなく、ニッチを狙うこと」だといいます。
この点について米光氏は「テーマを広げれば広げるほど、内容が薄まっていきます。100人以下のトークイベントであれば、『こんなのマニアックすぎて、誰も来ないんじゃないか』と思われるような内容の方が、意外と跳ねることがあります」と説明。路線図もファミコンも、そこまで人気が出るとは思わなかったと語られました。
最後は制作されたワークシートをもとに、米光氏が一つずつ丁寧に講評。イベントスペース・高円寺パンディットの奥野徹男氏もサプライズ参加し、「イベントを行う際は、ぜひ会場に使って欲しい」とアピールしました。ここからどのようなイベントが飛び出してくるか、今から楽しみです。
なお、本イベントで使用されたワークシートはFacebookグループページ「ゲームライターコミュニティ」で公開されています。ぜひチェックしてみてください。