インディーゲームの祭典「TOKYO SANDBOX2024」に潜入!~約70タイトルの中から、個人的にお勧めするゲーム5選を紹介していく~


こんにちは、東京国際工科専門職大学のゲームプログラマー志望、森川遥仁です。大学ではゲーム開発を専門的に学んでいて、最近はゲーム開発の勉強という名目で、色々なゲームに手を出しています。しかし自分のプレイ履歴を見ると、なぜかホラーゲームが多くを占めていて不思議です。今回は、6/22(土)に秋葉原で開催された「TOKYO SANDBOX2024」の取材に行ってきたのですが、その中で特にオススメなゲームを5本紹介していきたいと思います。

VR×カードゲーム、正にこういうゲームが欲しかった!『Project: JUDGE VISIONS』

プレイヤーは、VRヘッドセットを装着してプレイします。ターン性のカードバトルに似ていて、自分のカードを使って相手のモンスターを全滅させるのが目的です。攻撃/防御系統のカードのほかに、モンスターを「召喚」するカードがあり、バーチャル空間内で自分の周りに仲間のモンスターを召喚することができます。カードのドローからターン終了の宣言まで、とあるカードバトル漫画を彷彿とさせるような体験を楽しむことができます。

自分はこのゲームが人生初のVR体験でした。まず感じたこととして、プレイ体験がとても爽快です。腕に着いたデッキセットからカードをシュッとドローしたり、カードを目の前に掲げて握り潰すような動作をすることでカードの効果を発動出来たり、「そうだよ、自分はこんなカードバトルがしたかったんだ!」という要素が寸分の躊躇なくゲームに取り込まれていて、VRというものの新時代を強く感じました。製品化を目指して、皆さんの熱い声援で応援しましょう![https://x.com/GYAAR_Studio]

脳トレ…かと思いきや、トライアンドエラーの積み重ねでパズルを解くゲーム!『パネラビ(PANEL RABBIT)』

ウサギをゴールまで導くパズルゲームです。ウサギはパネルでできたマップの上を移動します。障害物によってウサギの動きが変化し、「前>右>左>後」の優先順位で次のパネルに動きます。マップにうまく障害物を設置してウサギがゴールまで行けるようにする、というゲームです。障害物のほかに敵や特殊ギミックなどもあり、1回でクリアすることは至難の業でしょう。ですがその代わりに非常にお手軽にリトライをすることができます。トライアンドエラーを繰り返しながら正解を探していくのが、このゲームの醍醐味となっています。

画面構成がシンプルで、とても巧妙に抽象化されたゲームだなと感じました。操作感やUIのレスポンス含め、他のゲームでは考えられないほどにストレス要素が払しょくされています。一般的なパズルゲームに見られる「熟考して答えを出す」タイプではなく、「とりあえずやってみようぜ」、格好よく言い換えると「プログラミング的思考力」が養われるゲームです。一方で、マップの構造の本質に気が付くと一発でクリアできることもあり、端的に言うと「飽きずにもくもくとやってしまう」ような、そんな魅力を持ったゲームだと思います。[https://store.steampowered.com/app/2341900/PANEL_RABBIT/]

見えない幽霊に追われる恐怖、夜の学校に隠れた秘密を解き明かせ!『SHADOW DETECTIVE』

とある理由で夜の学校に取り残されたプレイヤーが、学校を探索して脱出を図る過程で段々と学校の秘密に迫っていく、というゲームです。学校内には幽霊が彷徨っているのですが、なんとこの幽霊、視認できません。その上、当然ながらプレイヤーに対して敵対的です。幽霊がプレイヤーに接近すると心霊エフェクトが発生し、接触すると少しの間、その姿があらわになります。しかし、走って逃げても幽霊が今どこにいるか分からないので、本当に逃げ切ったのか、それともまだ追いかけてきているのか、しばらくの間はビクビクすることになりそうですね(笑)

とても丁寧に作りこまれたゲームですが、その中で最も特筆したいこととして「プレイヤーの操作とゲーム内の動作の対応が直感的」だということがあります。例えば一般的な3Dゲームはドアをワンクリックすることで開閉しますが、このゲームではコントローラーの「スティックを押す/引く」ことで開閉することができます。また、懐中電灯をつける際には「スティックを押し込む」必要があり、ダッシュをする際にも「移動スティックを進行方向に向かって強く押し込む」必要があります。コントローラーのスティック入力の特性が巧みにゲームに落とし込まれていて、とても没入感の高いゲームになっています。[https://store.steampowered.com/app/2743840/SHADOW_DETECTIVE/]

ただの2Dゲームじゃない! 広大なマップの隅々まで探索できる、実質オープンワールドRPG『Bloom Thrice』

2Dの探索型アクションゲームですが、あまりにもマップが広く、オープンワールドゲームと呼んで差支えないと思います。ゲームのゴールは明示されておらず、「旅を終わらせたくなったら最初の地に戻ってくること」という言葉と共にプレイヤーは旅立ちます。プレイヤーはこの世界のあらゆるところに行くことができ、様々なキャラクターとの会話/戦闘を楽しむことができ、多種多様なスキルを使って成長させられます。キャラクター同士のコミカルな掛け合いやポップなテイスト含め、このゲームの中には一つの確立された世界が構築されています。

シンプルでとても見やすい画面構成になっていて、色使いも視覚に優しい組み合わせになるように工夫されています。広いマップを自分の好きなところから探索でき、マップやワープポイントを開放したり、気になるギミックの所にチェックをつけて置いたりできます。2Dゲームは3Dから次元をひとつ落としているので、どうしてもプレイヤーのアクションの自由度が低くなってしまうのですが、そういった数学的な「狭さ」を一切感じさせない工夫が随所に散りばめられています。ストーリーも、ほのぼのとした雰囲気の裏にシリアスを匂わせるような話も若干あり、発売が待ち遠しいです。[https://store.steampowered.com/app/2840860/Bloom_Thrice/]

此の上無くスタイリッシュな和風ゲーム! 3DダンジョンRPGの一つの「完成形」、堂々見参『Labyrinth of Zangetsu』

このゲームは「3DダンジョンRPG」です。プレイヤーは3Dのマップ上で、駒が移動するように1マス刻みで動くことができ、敵と同じマスに入ったら戦闘が開始します。ダンジョンに潜ってパーティーを強化し、より深い階層に潜りつつボスを倒すというゲームです。元々は英語圏で発祥したゲームジャンルですが、このゲームはそれに「和」の要素、特に「墨」をモチーフにした世界観を加えています。

ゲームのプレイ体験とその世界観が、非常に良くマッチしています。プレイヤーから一定マス離れた風景は表示されないのですが、プレイヤーが移動すると、その風景がまるで切り絵を立てるように画面に表れます。ゲームシステム上、プレイヤーの全ての移動には「動く瞬間」「止まる瞬間」が存在していますが、それを日本の伝統文化に見られる「動」「静」と組み合わせることで、「スタイリッシュな和」を演出することに成功しています。現在超大型アップデートの開発が行われており、Ver2.0としての再始動が楽しみです。[https://store.steampowered.com/app/1922960/_Labyrinth_of_Zangetsu/]

取材を終えて~「TOKYO SANDBOX2024」で見えた、インディーゲームの熱気と可能性~

今回取材に伺った「TOKYO SANDBOX2024」はインディーゲームの展示会ですが、正に「少数精鋭」という感じで、多くの素晴らしいゲームに出会うことができました。自分以外の取材者や開発者の方々とも色々なお話をすることができ、皆さんのゲーム開発にかける熱意と愛情を強く感じました。驚いたことに起業されている方/チームも結構いらっしゃって、「そう来たか!」「そういう道もあるのか!」と、目から鱗な気付きでした。ゲーム製作に携わる者として、今回のイベントはとても励みになりました。

~ここまで読んでいただき、ありがとうございました~

東京国際工科専門職大学 デジタルエンタテインメント学科 森川遥仁


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