
ゲームライターコミュニティーの読者の皆さんこんにちは。面白そうなゲーム漁りが趣味の米満開理です。今回は新たな面白いゲームを探すべく、8月3日に行われた「東京ゲームダンジョン9」に参加してきました。普段はADVゲームを良くプレイしますが、今回は新たな視点を得るために、いろいろなジャンルのゲームをプレイしてきました。そのうえで、気になったゲームの紹介と感想を綴っていきます。初めて記事を書くため稚拙な文章となっていますが、ぜひ最後まで目を通していただけると幸いです。
簡単操作!でも以外と難しい!『Path to you』

『Path to you』は近未来を舞台に、自動で走行するロボットをゴールに導く2Dパズルゲームです。プレイヤーは2つのボタンを操作して、赤と青のブロックを出現/消滅させます。ステージにはロボットの走行を妨げる要素がいくつかあり、敵エネミーと衝突したり、3段以上の高さから落下したりすると、ゲームオーバーです。

ボタンが2つだけなので簡単そうに見えますが、これが意外と難しいのです。最初は障害物が少ないので簡単にクリアできますが、ステージが進むにつれて敵エネミーが出現し、ステージが複雑化していくため、気にすることがだんだん増えていきます。それでもロボはお構いなしに直進するため、意外と焦ってしまうのです。このように『Path To You』は、簡単そうに見えて奥が深いゲームです。Steamで発売が予定されていますので、ぜひチェックしてみてください。
このゲームは難しく「ない」『黒くないカギで開かないドアはない』

『黒くないカギで開かないドアはない』は、キャラクターを操作してカギを取得し、ドアから脱出することを目的とするパズルゲームです。最大の特徴はステージが文章で作られていることで、ステージのルールが書いてある文章そのものになります。プレイヤーが操作するキャラクターからは線が伸びており、その線で文章中の「ない」を取り、文章を変更することができます。例えば「このカギは重くない」から「ない」を取ると「このカギは重い」となります。すると、「このカギは重くない」というルールのもとで空中に浮かんでいた鍵が、「このカギは重い」というルールに変わり、下に落下するのです。

プレイしてルールを理解したとき、本当に感動しました。パズルとしての完成度がとにかく高いのです。「ない」を利用した文章変化によるルールの変更、文章変化による物理的な足場の増加/減少、自分の立ち位置。この三つの要素が上手く噛み合っていることで、さまざまなバリエーションのステージがあり、プレイしていて一切飽きが来ません。現在unityroomでフリー版が公開されており、今後ボリュームアップしたSteam版を配信予定のようです。頭の柔らかい方、新しいパズルの形を体験してみたい方はぜひプレイしてみてください。
ジグソーで簡単なデッキ構築バトル『Jigsaw Rogue』

『Jigsaw Rogue』は、ジグソーピースをつなげて効果を発動し、対戦相手に勝つことを目標とするデッキ構築ローグライトゲームです。
ピースにはカード名、攻撃力、攻撃回数が書かれています。それらのピースをできるだけ繋ぎ、ジグソーパズルの要領でステージに配置し、攻撃を行います。攻撃を行わず効果だけを発動するピースも存在しており、使い方次第で戦況を大きく変えることができます。

デッキ構築と聞くと何かと難しい印象がありますが、このゲームはとにかくシンプル! ピースの効果も単純明快です。なにより、誰でもわかるジグソーパズルがベースになっているため、難しすぎず、それでいて飽きさせないのです。
制作者のnitoさんは、デッキ構築型ローグライクの金字塔ゲーム『Slay the Spire』に影響を受けてこのゲームを制作されたそうです。自分の好きなジャンルのゲームを制作し、そのジャンルを盛り上げるのは素敵ですね。ゲーム制作の醍醐味の一つでしょうか。
手軽に遊べる『Jigsaw Rogue』は近日Steamにて公開予定のようです。デッキ構築ローグライクを遊んだことのない方も是非プレイしてみてください。
世論を操作し不動の地位へ『コメンテーター』

『コメンテーター』は、自分の選択で世論を操作し、視聴者やスポンサーからの高い満足度を得ることを目的とするノベルゲームです。
本作はニュース番組における放送前の打ち合わせの時間に焦点を当てたゲームとなっています。この打ち合わせの時間に、これから放送される内容について、スポンサー優先の内容か、視聴者の満足度優先の内容か、はたまたその両方か、コメントのスタンスを選択します。選択した後はドキドキした気持ちで結果を待つだけです。

お堅い感じの内容から、なかなか攻めた内容のもの、本当にニュースでやる必要があるのかという、ちゃらんぽらんな内容まで、様々な種類の内容があり、コメンテーターのコメントもなかなか面白いです。誰かとプレイすると盛り上がること間違いなしなので、ゲーム配信にも向いていると感じました。
開発者のテバサキゲームズさんは、開発意図として、世間話で話すのはタブーとされがちな内容に着目し、そこにゲームならではの面白さと選択肢を追加することでシリアスとエンタメを融合したゲームを作ることを目的としたそうです。
盛り上がり間違いなし!『コメンテーター』は今後Steamでの配信を予定しているそうです。世論を操作したい方はぜひプレイしてみてください。
とにかくかわいい生産ゲーム『不可思議メメメは寝ていたい』

『不可思議メメメは寝ていたい』は、ヒツジを運ぶことを目標とする3D×拡大生産ゲームです。
自堕落な天才ハカセ「不可思議メメメ」の目的は、眠気を誘うヒツジを街中に放ち、世界を眠らせること。プレイヤーは施設の中でとにかく窓にヒツジを運び、街中にヒツジを放出します。施設内にはヒツジの生産施設やハカセのトレーニングマシンなどがあり、ヒツジを放出することで溜まるポイントで施設を強化していくと、だんだん作業が効率化していきます。かわいくて魅力的なキャラクターの会話もあり、眺めているだけでも幸せな気持ちになります。

このゲームには、パステルな配色、キャラクター、デザインの細部まで、「かわいい」を押し込んだ要素が盛りだくさんです。さらに、生産ゲームの面を持つため、効率化された生産工程を見ているだけでも永遠に楽しむことができます。時間泥棒なゲームですね。
とにかくかわいい生産ゲーム『不可思議メメメは寝ていたい』は2026年にリリース予定だそうです。永遠に続く「かわいい」を体験したい方、世界を眠らせたい方はぜひプレイしてみてください。
AIを用いたゲーム制作支援ツール『ValorAI』

『ValorAI』は、ゲーム開発向けの生成AI統合ミドルウェアです。通常、ゲームに生成AIを導入するには、プレイされるほどコストが増加する外部APIを利用するか、専門知識を要する自作AIを用意する必要がありました。『ValorAI』は、外部APIに頼ることなくローカル環境でAIを動作させることで、この課題を解決します。
さらにこのツールはノーコードで開発を行うことができるので、プログラミングの知識がなくても、利用することが可能です。UnityやUnreal Engineといった広く使われるゲームエンジンに対応しています。

実際の開発画面は上記の画像のようになっており、Scratchのようなブロック形式で生成AIの制御を行います。そのブロックに適したプロンプトを入力することで、AIの回答をコントロールし、状況に適した一貫性のある回答を生成します。
私は大学でAIを学んでいる身であり、最近はローカルAIの話題を聞くことも少しあったのですが、実際にローカルで動作するAIが活用される具体的な場面を知ることができ、新たなゲーム制作の形を感じました。
新たな視点、新たな出会い、創造の地ゲームダンジョン
東京ゲームダンジョンへ足を運ぶのは今回で2度目でしたが、今回もいろいろな収穫がありました。さらに今回は記者として参加したため、前回は聞く事ができなかった、ゲームの制作意図やゲームに対する思いなど、ゲーム制作者たちの考えを聞くことができました。私自身、ゲーム制作は行っていませんが、開発者たちの発想や視点を聞くことで、自分の思考力を養う時間になったと感じています。昨今はAIが文章やイラストを生成する時代になりましたが、このイベントで出会った制作者たちの発想に触れたとき、やはり思考力というのは人間のアイデンティティなのだなと心から感じました。
このように多様な発想を披露する場である東京ゲームダンジョンは、私たちの思考と感性を豊かにしてくれるイベントです。
素晴らしい作品と発想で私たちの世界を豊かにしてくれる、全てのゲーム開発者に感謝と応援を送ります。
読者の皆様、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
東京国際工科専門職大学 情報工学科 AI戦略コース 米満開理