ゲームライターコミュニティ#25 eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること


ゲームライターコミュニティでは5月7日、第25回勉強会「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」を渋谷・アイモバイルさんのセミナールームをお借りして開催します。

当日はプロゲーマーのももち選手・チョコブランカ選手と、「黒川塾」でおなじみのメディアコンテンツ研究家・黒川文雄氏をパネリストにお迎えし、プロゲーマーとメディア、とりわけゲームライターの新しいコラボレーションの形についてディスカッションします。司会進行は運営メンバーでeスポーツ事情に詳しい岡安学が担当します。

終了後は会場で軽食による懇親会も行いますので、ぜひご参加ください。

開催概要

  • 日時 5月7日(月) 19:00-22:30(18:30開場)
  • 会場 東京都渋谷区桜丘町22番14号 N.E.S.ビルN棟 6階
  • 参加費 1200円(当日1500円)
  • ハッシュタグ #game_writer
  • 申込み・詳細 こちらをご覧ください

また、今回から決済を当日現金支払いから、Peatix経由での事前申込み制に切り替えました。決済手段としてクレジットカード・Paypal・コンビニでの支払いが選べますので、ご活用ください。領収書もPeatixのサイト上から発行できます。また、申込み後のキャンセルは満席時のみ受けつけます。ただし、手数料が発生する場合がありますので、ご注意ください。詳細は上記申込みサイトをご覧ください。

その上で、今回のテーマについて簡単な補足説明をさせていただきます。

ゲームライターコミュニティでは第23回勉強会「eスポーツ大会の取材ノウハウ徹底公開」を本年1月に開催しました。この時はちょうど闘会議2018直前ということもあり、ライターの直接的な取材ノウハウについて議論しました。つまり、この時は「メディアがeスポーツの取材に行く」ことが前提の内容でした。

このようにメディアは一般的に、あるイベントに対してニュースバリューがあると思えば、表現は悪いですが、ほっておいても沸いて出てきます。これに対してイベント主催者側も、取材して記事にしてもらうことで、広報宣伝に活用できます。これによって、取材する側・される側がともにハッピーな関係になれます。いわゆる一つのWIN-WINですね。

このように、コンテンツを生み出す側と、それを伝えるメディアが二人三脚で市場を広げていく。この関係性はゲームに限らず、さまざまな分野で普遍的にみられる構図です。その中でもゲームについては、コンテンツホルダーとメディアの関係が非常に近い点が特徴です。ファミコンバブル、PSバブル、そして最近ではアプリバブルの頃、多くのメディアがゲームを作り、市場に参入したのも記憶に新しいところです。

この根っこにあるのがビジネスであることは、言うまでもありません。そして、その関係性を否定するつもりは、毛頭ありません。ゲームライターもまた、多くの場合、この業界内エコシステムの一員として業務を請け負い、口に糊をしているからです。

ただ、言うまでもなくコンテンツ製作側とメディアの立ち位置は別モノです。そのため市場が広がっているうちは良いんですが、いざピークを過ぎると、けっこう脆いんです。あっという間に手のひら返しが発生して、メディアの方向性が変わったりします。そりゃそうですよね。ビジネスなんだから。でも、好きで作っている側からすると、ちょっと切ないところもありますよね。

その一方で、急激にコンテンツが盛り上がると、それはそれで問題がおきることもあります。隠れた名店が雑誌で紹介されるや否や、一見さんが大量に押し寄せて、店も常連も迷惑するなんてのが好例です。そのため、「取材お断り」といった名店もすくなくありません。メディア側に悪意があるわけじゃないです。ただ、一般的にメディアって、掲載後の責任がとれないんですよ。

つまりWIN-WINといいながら、メディアには「おいしいとこ取り」をしようとする傾向があります。もちろん、コンテンツホルダーが、それをわかった上で付き合っていただける分には良いんです。ただ、一般的に立場の違う組織や団体が協業する際、共通の目標がお金だけだったりすると、しばしばトラブルが発生します。一般的に、誰も責任を取りたくないからです。

繰り返しますが、儲かっているうちは良いんです。ただ、一度負のスパイラルに入ると、共通の目的である「利潤」が消失するので、あっという間に瓦解する。それがビジネスだといえば、それまでなんですが、たいてい市場が荒れてしまって、人間関係もグチャグチャになって、後の人がすごく迷惑したりする。心当たりがある人も少なくないんじゃないでしょうか?

その一方で、「ゲーム好きであること」が共通項に掲げられることも少なくありません。ゲームのおもしろさ、eスポーツの素晴らしさを、立場は違っても、より多くの人々に伝えていきたい。すばらしいです。ただ、それだけでホントにいいのかな・・・とも思う今日この頃です。というのも、それだと経験上、ゲーム好きの間でしか、広まらない気がするんですよね。。。

良く覚えているんですが、ニンテンドーDSで『脳トレ』等が流行っていた頃、知り合いの一般誌編集者から「DSってそんなに流行っているんですか? 私も職場のみんなもゲームはやらないので・・・。なんとなく、一部のコアなファンだけが盛り上がっている気がするんですよね」と言われたことがあります。この言葉に軽い絶望感を感じたモノでした。

実際、ゲームの価値って遊ばなければわからない。その上、当時はゲーム機を買って、それからゲームソフトも買わなければ、その価値が体験できませんでした。そのため『脳トレ』といえども普通の人には敷居が高かったんですね。これが今では多くのゲームがスマホで、基本無料で遊べるようになったので、格段にゲーム人口が増えました。いろいろと批判されることもありますが、これはスマホゲームのはたした大きな功績の一つだと思います。

その上で、ひるがえってeスポーツについて考えてみると、まだまだニッチな存在です。ただ、今年になって良くも悪くも、確実に追い風が吹いてきているのも事実でしょう。賛否両論もありますが、業界団体が一本化し、それと前後して高額賞金付き大会も開催されるようになりました。メディアの取材も格段に増えています。今はまだ「高額賞金付き大会」自体が珍しく、ニュースバリューがありますからね。

その上で、メディア側に「アジア室内大会で正式種目になった/オリンピック種目になるかも? そして2020年に東京五輪が来る」という期待感があるのも、間違いありません。実際に自分も何度かeスポーツの可能性について、オリンピックと絡めて取材されたことがあります。その一方で、実際にどんな大会があり、どんな試合が行われているのか、知っている人は非常に少ない。でも、そういった人々を巻き込んでこそ、一般化したともいえるわけです。

その一方で「良いんです一般化なんて。僕らは好きで遊んでいるだけなんですから。良くわからない人が、勝手に土足で入ってこないでください。迷惑です」という考え方も、また正しいと思います。eスポーツに対する捉え方は、たぶん人それぞれ、コミュニティそれぞれによって違います。ただ、ブームの渦中では十把一絡げにされがちなんですよ。メディアも読者も情報に対して「シンプルであること」を期待しますから・・・。

というわけで、なんとなくですが、今また「隠れた名店」発見的な匂いがしませんか? 実際、メディアはeスポーツに対してサワサワしています。肌感覚ですが、どのメディアも将来性を見こして取材を進めているはずです。たぶん、ポイントは「善意とビジネスのバランス」であり、「立場を越えたビジョンの共有化」なんです。ただ、その中に無数の解答があります。そしてその答えは時代や状況によって変わっていきます。

こうした中、eスポーツを一過性のブームに終わらせることなく、持続的な成長とともに社会に定着させるためには、何が必要なのでしょうか? そして、この理想に対してプロゲーマーとゲームライターは、どのようなコラボレーションが可能なのでしょうか? このあたりで一回立ち止まり、交通整理をしてみるのも、悪い話ではないと思います。どのような議論が行われるのか、自分も楽しみです。