ゲームデザインをリバースエンジニアリング


前回・今回と対話型授業から離れて、グループ演習中心の授業で進めている本講座です。実際は後半の90分をUnity演習にしているため、演習の比率がかなり高まっています。本当は座学90分、演習90分が良いような気がするんですが、なかなか90分座学ってのは難しいんですね。すぐ寝ちゃう&スマホでゲームをはじめちゃったりする。特に専門学校の学生は「理屈は良いから何か作らせろ」というニーズが高い気がします。まあ、それはそれでいいんですが・・・。

というわけで前回はEMSフレームワークとMDAフレームワークを組み合わせて、オリジナルのゲーム企画を作ってもらいました。今回と次回でさらにそれを深掘りして、肉付けしていく予定です。ただ自分とは別に、本職のゲームデザイナーの先生による授業があり、そこでペラ企画書を作らせつつ、似たようなことをやっていたりするんですね。そこで今回は趣向を変えて、ゲームのリバースエンジニアリングをテーマにした授業にしてみました。

といっても、そんなに難しいことをするわけではなくて、要は企画と反対側のことを順にやってみましょうというだけです。ある人気ゲームを選んで、そのゲームで一番盛り上がるシーンはどこかを考える。次に、そのシーンにおけるプレイヤーの心の動きを考える。次に、そこからMDAフレームワークを考える。んでもって、そこからEMSフレームワークに落としていく。そして最後に想定されるペルソナについて考える・・・というわけです。

実はこれ、ゲームライターがゲームをレビューする時に、自然にやっていることでもあるんですね(僕だけ?)。少なくともゲーム批評では「ゲームを遊んでコンセプトとターゲットを考えて、その意図通りにゲームが作られているか」を重視してレビューをするように、ライターにお願いしていました。もっとも、当時はこんなにまとまっておらず、打ち合わせもいい加減でした。20年以上たって、やっと分析手法が追いついてきたという感じでしょうか?

んでもって当たり前なんですが、この一連の作業がサクサクとできるゲームほど、良いゲームなんですよね。それぞれの要素にブレがなく、論理的に組み立てられているということなので・・・。また、プレイヤーの認知・行動モデルを考える時は、そのゲームで「一番盛り上がるシーン」について考えるのがコツです。前に取り上げたとおり、一つのゲームにはいろんなおもしろさが組み合わさっているからです。まずはゲームの姿を大ざっぱに捉えることが大切です。

中でも考えて欲しかったのがペルソナの存在について。これを意識するか否かが、プロとアマチュアの境界線だと言えるでしょう。「自分ではなく、他人のために作る」ことが、プロのゲーム開発者ですからね。また、ゲームジャムやインディゲームなどでも、ペルソナを想定することは重要です。チーム間でユーザー層を共有することで、プロジェクトのブレが防げるからです。余談ですが就職活動では副ペルソナが「企業の人事担当」となる点にも注意が必要です。

というわけでスライドの最後には各グループの演習結果を載せておきました。程度の差こそあれ、まあだいたい、及第点だと思います。ただ、これをゼロから作り上げるとなると、また話が変わってくるんですよね。しかも特定のテーマが設定されたりすると・・・。逆にゲームジャム前に、1~2回くらい本演習をしてみるのも、良いかもしれません。いや、しかしホントに、ゲームを作るって大変ですよね。ライターの方が100倍楽だと思う今日この頃です。