ゲーム黎明期の歴史に見る自機とコントローラーの関係性


ゲームニクス(亜細亜大学のサイトウ・アキヒロ先生が提唱されているUI/UXの理論)に関する書籍編纂を手伝ったこともあり、自分がゲームをレビューする時は「画面を見ただけで遊び方が自然にわかるか?」を重視しています。そこで重要なのが「自機とコントローラーの関係性」であり、「自機と世界の関係性」です。これが適切にデザインされていると、パッと画面をみただけで、ゲームの操作方法がわかる。その上で何をすべきか(何がゴールで、何が障害物で、何をしたら乗り越えられるかなど)がわかるというわけです。

というわけで後期の授業では「どうやったら画面を見ただけで遊び方が自然にわかるようになるか」について、手を変え品を変えて話を続けているわけですが、そこで去年に続いてYoutubeから引用したのが、「新・電子立国④ ビデオゲーム巨富の攻防」です。具体的には「コンピュータースペース」がなぜ失敗して、「ポン」がなぜ成功したのか、というくだりですね。番組中では「操作が複雑すぎた」の一言で終わっていますが、どこが複雑だったのかについて、番組を見ながら改めて考えてもらいました。

というのも、「コンピュータースペース」は「スペースウォー!」を比較的忠実に業務用に移植したタイトルです。んでもって「スペースウォー!」が学生の間で大ブレイクしたのに、「コンピュータースペース」はなぜ失敗したのか。答えは言うまでもなく「大学の研究室でミニコンに夢中になるような学生は、ある程度リテラシーが高かった。そのうえ『スペースウォー!』は無料で遊べたので、失敗しながら操作を学ぶ余裕があった」からですが、ここに気づくか否かが重要なわけです。幸い、授業ではみな気がついてくれました。

実際に自分もE3などで「コンピュータースペース」をプレイする機会がありましたが、すごく操作に迷いやすいんですよねw まあ、売れなかったのもよくわかります。んでもって、そこから「ポン」を生み出したアルコーンのすごかったこと。モノの本によると内覧会でオデッセイのテニスゲームを見たブッシュネルが、ゲームの仕様を簡潔に説明したところ、アルコーンがそこから自由に想像をはたらかせて作り上げたとのことですが、モノの本質を見極める力がハンパないなあと思わされます。

んでもってスライドの最後にちょこっと出てきますが、「ポン」の自機が縦長のラケット(ドットを縦に8個つなげてある)なのに対して、Unityで進めている「あそびのデザイン講座」の自機は横長の楕円形になっています。なぜ丸や縦長ではダメなのか。Unity演習と話を絡めながらディスカッションができました。 なお、Unity演習との絡みで言えば、これに続いて「なぜ自機は『ポン』や『ブロック崩し』と同じように、縦長(横長)ではダメなのか?」という話が出てきます。こちらも次回の「自機と世界の関係性」で取り上げる予定です。


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