ゲームデザインとアフォーダンスとシグニファイア


「パッと見て遊び方がわかるのが良いゲーム」という考え方のもとに進めている後期の授業。となると避けては通れないのが認知心理学、中でもアフォーダンスです。昔は「アホでもわかるのがアフォーダンス」なんていわれたこともありますが、最近ではアフォーダンスとシグニファイアという概念を分けて考えているんですね。自分も本授業を組み立てるにあたり、久々にウェブや書籍をさらって勉強になりました。

中でもおもしろかったのがノコノコとトゲゾーのたとえです。その昔、任天堂を辞めた直後の横井軍平さんにインタビューに行って、「ゲームのグラフィックは遊び方の説明のために存在する」と話を伺い、非常に感銘を受けたものでしたが、あれは実際には横井さんの考えだったのか、それとも宮本さんだったのか……。まあ、なにはともあれ宮本さんが工業デザイン出身のデザイナーだったという点は、ゲームの歴史において重要なポイントだったと思います。

ちなみに「電車でGO!」のくだりは昔、視覚障害者で大学講師をされている方との雑談を通して、目から鱗が落ちた点の一つでした。「ガタン、ゴトン」という振動音を数えて現在位置を推測するなんて、健常者には思いもつかないですよね。こんなふうに、世界のあり方は同じでも、生物の身体によって世界の捉え方がまったく異なる。この辺の話をおもしろいなーと思う人は、ゲームに限らずUI/UXデザイナーに向いているのではないでしょうか。

実際「ニンテンドーDSが売れる理由」「ゲームニクスとはなにか」を上梓した頃は、まだiPhoneが日本で普及する前で、UI/UXという概念も一般的ではありませんでした。その頃から比べれば、非常に多くの人がUI/UXに関心を持つようになり、実際にさまざまな器機やサービスの使い勝手が向上して、ホントに良かったなあと思います。ゲームのUI/UXのノウハウが、もっともっと世の中に役に立つ時代が来て欲しいなあと切に思います。

というわけで、ここ数回の授業では「ゲームキャラクターと同様に、ゲーム世界は抽象化されている。そしてゲームキャラクターと同じように、ゲーム世界はシグニファイアされる必要がある。ゲームキャラクターと世界は表裏一体であり、そこにプレイヤーはコントローラーを通して介入している」点について、いろいろと解説しています。これが適切にデザインされているのが良いゲームです。業務用ゲームの開発を通して、80年代の日本のゲーム業界は、無意識のうちのこのテーゼを学んだといえます。