今年もまた授業が始まりました


ゴールデンウィークが終わりまして、今年もまた東京クールジャパン(略称TCJ、旧:東京ネットウエイブ)での授業が始まりました。実は今年から新たにヒューマンアカデミー秋葉原校でも非常勤講師を行うことになりまして、火曜日は秋葉原、金曜日は千駄ヶ谷で、それぞれ授業を担当することになります。もっともヒューマンさんの方はシナリオ科で雑誌・Webライターコースを担当しますので、ゲームについてがっつり教えるのは引き続き千駄ヶ谷となります。

さて、今年の目標ですが、いい加減パワポ芸から脱却することにしました。幸い昨年度のスライド資産がありますので、こちらの前期分をざっくりまとめて、先に学生に公開しました。昨年度との違いは宣伝やキャッチコピーに関する授業はざっくりとはしょって、かわりにゴールデンサークル理論などの項目を加えたことです。その上で授業ではグループ演習やディスカッションを中心に進めることにしました。また、手書きでノートをとることを奨励しました。

ちなみに、先にスライドを公開したことで、思いがけないメリットも生まれました。実は今年からTCJでは留学生がドッと増えまして、なんとクラスの7割が海外からの学生さんになったんですね。日本語の読み書きやコミュニケーションはできるものの、レベルには差があるようで、文章の読解に翻訳サイトを使う姿も見られました。そのため、事前にスライドを公開したのが役だったようです。こうした理由からも、演習中心の授業にするのが良さそうに感じられました。

さて、初回の授業では「三目並べ」を遊んで、それをもとに改造してオリジナルのゲームを作るという演習を行いました。これは今年のGDCの教育サミットで、「ルールズ・オブ・プレイ」の著者であるエリック・ジマーマンが、米ニューヨーク大学のゲームセンターでMFA(美術学修士)の学生に対して行うゲームデザインの授業で、最初に行うものとして紹介していた内容です。講演スライドも公開されていますので、さっそく自分の授業でもやってみました。

当初の自分のもくろみとしては、自分の授業のポイントである「構造的なレビュー」と結びつけて、「『三目並べ』はつまらない。なぜなら常に引き分けになるからである」ことを理解させること。その上で「常に引き分けになる」という欠点を解消するようなアイディアを付け加えて、「三目並べ」を改造させることにありました(自分のスライドでは56ページに解説)。ところが、いざやってみると、そうは問屋が卸さなかったんですよね・・・。

最大の誤算は「三目並べは引き分けになる」ことを知らなかった学生が相当数いたことでした。学生の大半は三目並べを子どもの頃に遊んだ経験がありましたが、いざ改めて遊んでみると、けっこう面白かったみたいなんですね。しかもアンケートをとると「三目並べはおもしろい(勝ったり負けたりするから)」と、「三目並べはつまらない(先手必勝だから)」と、「おもしろいか否か、よくわからない」という学生が1/3ずつになったんですよ。あちゃーって感じでした。

また、「三目並べ」のルールを書き出させてみると、大半の学生がちゃんと書けなかったんですよね・・・。なんといっても文字が汚くて読めない(特に男子)。そして(想像していたことですが)特に留学生で日本語の文法に間違いが多く、理解に時間を要する。その上で必要なルールを過不足なく記述できない。アナログゲームを遊んでルールを書き出すのは仕様書作成の良い勉強にもなりますので、機会があればぜひ実施されてみると良いかと思います。

ともあれ、早めに学生のスキルがわかったのは収穫でした。留学生が多いという事情もあり、「文章を手書きで書かせない(ワープロ必須)」「簡単なイラストでも、手ではなくてPowerPointの図形などを組み合わせて描かせる」といった工夫が必要なようです。逆に日本と海外で市場の違いなどについて相互理解を深めるといった、TCJならではの授業ができそうな気もしてきました。まだまだ手探りですが、学生に即した授業作りをしていきたいと思います。