PS4とPCでリリースされるや否や、インディゲーム界に旋風を巻き起こしたリズム・バイオレンスゲーム『Thumper』。GDCでも開発者トークが行われ、無料で視聴できます。
【Seven Years in Alpha: ‘Thumper’ Postmortem】
しかし、こちらで語られていない、もっと基本的なことがありました。そして、そこに本作の麻薬的なプレイ体験のキモがあるような気がしました。
それが意識的にデザインされたものか否か、メインプログラマーでGDCスピーカーのマーク・フルーリーにメールで質問してみました。
ーー多くのゲームでは3回ミスするとゲームオーバーですが、本作は2回でゲームオーバーです。なぜ従来と同じやり方を踏襲しなかったのですか? 何か特別な意図がありましたか?
私はThumperのダメージ/フェイルシステムは他のいくつかのゲームに似ていると思う。 Thumperでは、ビートル(プレイヤーキャラクター)は装甲を有している。ダメージを受けると装甲を失い、再びダメージを受けると死んでしまう。これはスーパーマリオブラザーズで “大きな”マリオが “小さく”なり、小さなマリオが再び敵に当たると死んでしまう構造に似ている。
スーパーマリオブラザーズではマリオが状態を取り戻し、再び大きくなることを可能にするキノコを持っています。同様にThumperもステージをクリアすると装甲が回復する。スーパーマリオブラザーズで、プレイヤーは頻繁に死ぬか失敗すると思う。しかし、次第にうまくなっていくと、(1回ミスしても即死ではなく、回復するチャンスがあるので)「2ヒット」システムによってプレイヤーはスピーディに、より積極的に遊ぶようになっていく。
Thumperも同じようなことがおきると考えているんだ。(良く難易度が高いといわれるけど)実際にはかなり寛大なシステムになっていて、プレイヤーはハイスコアに集中できるんだ。
--PC版ではゲームオーバー時に「コンティニュー(Y/N)」といったメニューが表示されませんが、これはPS4版でも同じですか? また、メニューを付け加えなかった理由はなんですか?
PS4とPCの両方で同じです。はじめのうち、プレイヤーは何度も失敗すると思う。そのためUIを削除して自動的にコンティニューさせることで、ストレスを軽減させたかったんだ。たとえゲームオーバーになっても、それについて深く考える必要はなく、ただボタンを押すだけで続きを楽しめるからね。
--本作にはアイテム類をはじめ、よけいな要素が一切入っていません。これは当初のコンセプトどおりですか? それとも開発中に何か他のアイディアを入れることを試みましたか?
パワーアップ、ライフメーター、スペシャルアイテムなど多くの実験を試みた。いくつかのアイディアは有望そうだったけど、Thumperにとって必要不可欠な要素ではないと判断したんだ。
僕らはThumperを、おもしろい要素を保ったまま、できるだけシンプルにしたかった。説明が難しいんだけど、僕らは「クラシックで」、かつシンプルなゲームが好きだ。ほとんどのクラシックなゲームはピュアなおもしろさがあり、そうでないものはたいていごちゃごちゃしている。パワーアップアイテムとか、いろんな要素について実験したあとで、そういったものがなくてもおもしろいリズムアクションゲームを作ることができるだろうと判断したんだ。
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