ゲームライターコミュニティ16「動画広告の今」レポート


ゲームライターコミュニティの第16回セミナーが5月17日、「動画広告の今」をテーマに開催されました。当日はモバイルゲーム向け動画広告ソリューション「maio」を展開するアイモバイルの早瀬優希氏による司会のもと、同社の村田将氏と藤田恵理氏が現状を解説。後半では「ようとん場」「借金があるからギャンブルしてくる」などの開発・配信で知られるジェーオーイーの石川丈氏が登壇し、モバイルゲームの広告トレンド変遷や収益化のコツについて語りました。

モバイルゲームのマネタイズ手法は大きく「売り切り」「アイテム販売」「広告」に分けられ、中でもカジュアルゲームで主流となるのが広告です。もっとも、一口に広告といっても定番のバナー広告から動画広告まで多種多様。時代に応じて、また環境に即して、さまざまな広告商品が開発されてきた経緯があります。そこでセミナーではまず、村田氏からモバイルゲーム向け広告の歴史と現状が紹介されました。

アイモバイル・早瀬優希氏

アイモバイル・村田将氏

広告を出稿したい側と、広告を掲示したい側。この両者をインターネット上で接続し、自動化アルゴリズムでユーザーにあった広告を画面上に掲示する……。これがアイモバイルをはじめとしたアドネットワーク事業者の役割です。その上で、過去さまざまな広告が開発されてきました。「バナー広告」「アイコン広告」「インタースティシャル広告」「ウォール型広告」「ネイティブ広告」「フルスクリーン(全画面)広告」「動画広告」などが主なものとなります。

もっとも、広告表示のレギュレーションはストアによって異なります。中でも記憶に新しいのがAppStoreにおける2014年の規定改定です。「App Storeに似せた広告や、ポイントなどのインセンティブを付与して、ユーザーにアプリのダウンロードを促す広告が禁止されました。これにより、業界全体でアイコン広告やウォール広告が見られなくなりました」(村田氏)。これらに変わって近年、主流になってきたのがアプリ内の動画広告というわけです。

アイモバイル・藤田恵理氏

典型的な動画広告はゲームオーバー時のコンティニュー機能などと絡めて実装されます。ゲーム内アイテム(コインなど)を消費するか、動画を再生するとコンティニューできるといった具合です(なお、この時に動画ファイルは再生の有無にかかわらず、先読みして端末内にダウンロードされている例が一般的とのこと)。藤田氏は「動画広告市場は2015年には516億円だった市場が、2017年は1224億円に急成長する見込みです」と語ります。

動画広告の特徴の一つが高いCPM(1000回表示あたりの広告コスト)で、maioではフルスクリーンアドの5倍近く(CPM300→CPM1500)に上るといいます。特にmaioではユーザーが動画視聴を完了した時点で、インストールの有無にかかわらず報酬が発生するCPCV型を採用しているので、メディア(広告が表示されるアプリ)側に優しいのが特徴。インストールを促すわけではないので、App Storeの規定にも違反しないというわけです。

ジェーオーイー・石川丈氏

もっともユーザー側からすれば、平均30秒の動画広告の再生を強要されるのは大きなストレス。そのためマネタイズにはゲームデザイン側の工夫が必須となります。ジェーオーイーの石川氏はゲーム会社の視点から「ユーザーの動線をデザインすることが重要」と指摘。「借金あるからギャンブルしてくる」では、動画を再生することでコインが稼ぎやすくなるモードに突入するようにして、自然にユーザーに視聴を促すようにしていると説明しました。

また、今後注目している広告として、ネイティブ広告と動画広告の組み合わせがあげられました。ネイティブ広告とはゲームのメイン画面などに、背景の一環として組み込まれるような形で表示される広告のこと。「借金~」ではカジノのデジタルサイネージのイメージで広告枠がデザインされています。静止画だけでなく動画も再生可能で、広告枠を斜めに歪ませて表示するなども可能とのことです。

わずか数年にもかかわらず、めぐるましく変化してきたモバイルゲーム向けの広告マネタイズ事情。そこには技術の進化とストア側の規制という二つの要因があります。ただ、一つだけ言えるのは新しい広告が開発されるにつれて、メディア側(=アプリに広告を掲載するゲーム会社側)の収益性が上昇してきたこと。カジュアルゲーム市場が拡大する一つの要因にもなってきました。「今後も新しい広告を開発していきたい」と語る早瀬氏。カジュアルゲーム事業者にとって、今後もモバイル広告は目が離せない存在になりそうです。(小野憲史)