ゲームライターコミュニティ#18「コーラス・ワールドワイドはこうして生まれた」インタビュー記事


「実際のインタビューを大公開」と題して、8月22日に実施された「ゲームライターコミュニティ#18」。当日は『THE ROOM』『キティ・パワーズ マッチメーカー』など、尖ったインディタイトルを専門に扱うコーラス・ワールドワイドの大柳竜児さんと二宮文月さんにご協力いただき、経歴や同社の成り立ちについて、たっぷりと伺った。

尖ったインディゲームを扱う3人だけのパブリッシャー

−−今日はよろしくお願いします。はじめに、簡単な自己紹介をお願いします。

大柳:コーラス・ワールドワイドの大柳竜児です。主にPR担当をしています。

二宮:同じく二宮文月です。COOをやらせてもらっています。ローカライズの実務周りを海外の開発とやっています。

−−コーラスさんは3人だけのパブリッシャーなんですよね。

大柳:そうですね。あと一人、CEOの金親晋太郎がいて、海外でタイトルの買い付けをしています。ローカライズを台湾でやっていて、アジア市場にも展開しているのですが、そうしたビジネスデベロップメントも金親の担当ですね。

−−事務所もないんですよね。

大柳:みんな自宅で仕事をして、ネットでやりとりしているんですよ。金親なんてバンクーバー在住ですからね。東京ゲームショウなどで顔を会わすくらいです。だから、たまに「挨拶にお伺いしたい」と言われることがあるんですが、困っちゃうんですよね。

−−大柳さんはもともとP&Aシェアウェアご出身なんですよね。「PC-DIY」というパソコン自作雑誌の編集をしていた頃、ちょくちょく立川の事務所にお邪魔していました。1999年くらいだったかな。

大柳竜児氏

大柳:自分が入社したのが2000年以降なので、ちょうど入れ替わりになりますね。もともと海外ゲーム一筋的なところがあって、『DOOM』『Quake』『ディアブロ』などをよく遊んでいたんですよ。当時はWindows98が発売されて、インターネットが身近になって、自作PCのブームがおきて、3Dグラフィックボードが発売されて……という時代でしたよね。P&Aシェアウェアというのは、まさにそういう時代のあだ花みたいな会社でした。

−−ご夫婦で経営されていたんですね。パトリックさんとオシュネーの頭文字をとって、P&A。

大柳:E3とかに行って、『Duke Nukem 3D』『Quake3アリーナ』といったPCゲームの国内販売権を取得してきて、CDを数百枚単位で輸入してくるんですよ。それに日本語マニュアルをつけて販売するという、今からすればかなり大らかなビジネスをされていました。もともと、同社が出していた『Blood』『Shadow Warrior』タイトルのファンで、ちょくちょく遊びに行かしてもらっていて、それがきっかけでした。

−−話はずれますが、タイトル選定はみんなパトリックさんの趣味だったんですか?

大柳:そうですね。ワンマン と言われていました(笑)

−−そこから本格的に洋ゲー畑に進まれて。

大柳:EAジャパンでQAからはじめて、サポートに行って、そこからTHQジャパンでPRをしたり、アクティビジョンジャパン でローカライズの仕事をして、カプコンにも1年弱いましたね。そこから再びEAジャパンに戻り、コーラスの立ち上げに参加して、現在に至るという感じです。

二宮文月氏

EAジャパン時代のネットワークで独立

−−二宮さんは如何ですか?

二宮:僕のゲーム業界キャリアは、今はもうなくなってしまった、小さいゲーム会社でプランナーをするところから始まりました。人が少なかったので、何でもしなくちゃいけなくて、英日ローカライズの仕事もやっていましたね。契約周りもまかされて、ライセンスを取りに歩いたりとか、1年目からいろいろやらされました。そこからEAジャパンに転職して、アシスタントプロデューサーとして英日ローカライズをやって、プロデューサーになって、部長になって、最終的にはアジア全域を見るようになりました。11年くらい英日ローカライズをやっていましたね。大柳とはその頃からの付き合いなんです。

大柳:実はTHQジャパン自体が解散 した時、路頭に迷いかけたのを拾ってくれたのが二宮だったんですよ。だから、EAジャパンは2回在籍しているんです。

−−いま伺っただけでも、大柳さんは海外パブリッシャーを渡り歩いたたたき上げで、二宮さんはEAで社内出世されてと、好対照のお二人という感じがしましたが……。

二宮:実はEAからコーラス・ワールドワイドにいたるまで、5年間ほど開発会社にいたんです。以前、グラスホッパー・マニファクチュアがEAと『Shadows of the DAMNED』を作ったじゃないですか。それが縁でグラスホッパーさんにお世話になりました。当時は制作本部の本部長という肩書きで、制作周りをすべて見ていました。それと並行して、同社がデジタルハーツとG&Dという合弁会社を作り、タイにグラフィックアセットを制作するオフショアのスタジオを運営していました。そこで取締役として、スタジオの立ち上げからかかわりました。

−−そうなんですか。

二宮:ご存じの通り、グラスホッパーの中でも須田さんのチームが、ガンホー・オンライン・エンターテイメントに買収されましたよね。その時に買収されずに残ったチームがいて、そこがプラネットGという開発会社になりました。自分はG&Dの取締役としてアセット制作や映像制作をしながら、プラネットGでは開発会社のエグゼクティブプロデューサーとして、ゲーム開発もやりましたね。そこからG&Dの取締役に集中することになり、やがてG&Dがフレイムハーツと合併して、そこでもゲーム開発の統括をやりました。一番多いときで150人くらいの社員を見ていたかな。

−−つまり大きい会社を見ていたというわけですよね。それで今、コーラスさんって何人いるんでしたっけ?

二宮:3人です。

−−良い話ですよね(笑)。どういう経緯で合流されることになったんですか?

二宮:コーラスも立ち上げ時から誘われていたんですが、役員をしていたので、なかなか辞められなくて。会社が合併して役員でなくなったところで、改めて合流したという流れです。

大柳:最初からコーラスは三人で始める前提だったんですよ。社長の金親晋太郎から「二宮君、どう思う?」と聞かれて、「いや、来てもらえるんだったら、いいですよね。でも、向こうも生活があるでしょう」みたいな話をしていました。

二宮:もともと金親と僕はEAジャパン時代からの友達だったんです。席も隣だったし、『シムピープル』の英日ローカライズを一緒にやっていたし、たまたまマンションもEAジャパンの真向かいでした。一緒に出社して、一緒にランチを取って、一緒に帰宅して、一緒にゲームをやって遊んでいたくらいです。その後、金親は出向元だったEA UKに戻るんですが、当時『ハリー・ポッター』のゲームを担当していたこともあり、一緒に仕事をしていました。

−−大柳さんも金親さんのことをご存じだったんですか?

大柳:いえ、部署が違ったので、直接顔を合わす機会はなかったですね。在職中に一回だけ会ったことがあるかな。その時も「日本人だけど、変な日本語を使う人だな」くらいの認識しかありませんでした。もともと金親はイギリス出身の日本育ちなので、英語ネイティブなんですよ。

−−そんな中、コーラスは当初、二宮さんと大柳さんの二人だけでスタートしたんですよね。どういった経緯で立ち上がったんですか?

大柳:二宮の知り合いで元EAジャパンの人間から「金親って覚えてる? よかったら、一回会って欲しいんだけど」って紹介されたんですよ。2014年の2月のことかな。そこでモバイルのパズルRPGを見せられて、「これで独立しようと思うんだけど、どう思う?」って聞かれたんですよ。それがコーラスの初ローカライズタイトルになる『グリフクエスト』でした。

−−どう思いました?

大柳:「売れないんじゃないですか?」と正直に言いました(笑)

−−そこから、よく思い切られましたね(笑)

大柳:その時はそれで終わったんですが、どうも気に入られたみたいで。その後も金親から「一緒に仕事してくれませんか?」とオファーを何回も受けました。その一方で、外資疲れというのもあったんです。これも会社によるんですが、特にEAジャパンは、日本でゲームが売れないと簡単にクビが切られたんですよ。

二宮:僕がいたときも制作は多いときで50人くらいいましたが、段階的にリストラが進んで、辞めるときは5人だけになっていましたね。後は全部アウトソースしていきました。

ーーああ、よくわかります。ザ・外資ですね。

大柳:一方で日本企業もベンチャーから一部上場まで経験しましたが、堅苦しくていやなだと。そんな頃に「一緒に合流しませんか? 」というオファーをもらったわけで、よくよく考えてみれば、これは非常にありがたい話ではないかと。

−−なるほど。

大柳:実際に2013年って、市場がコンソールからモバイルにシフトしてきたころで。たとえ日本では非主流のジャンルであっても、海外では売り方も含めて、いろんなゲームが存在して。PC、家庭用ゲームと海外ゲーム一本で仕事をしてきた身として、改めてモバイルでも勝負ができるというのは……良いタイミングかなと。

−−同じモバイルといっても、『パズドラ』的なゲームを扱うわけではないと。

大柳:そうですね。僕はそっち側の人間ではありませんから。

−−二宮さんも同じような思いがありましたか?

二宮:そうですね。金親も1年に何回か、東京ゲームショウなどのタイミングで日本に来ていたんですよ。たいてい会って話をしていましたし。もともと友達で、また仕事を一緒にしたいと思っていましたし。ただ、さっきも言ったように役員をしていたので、なかなか辞められなくて。役員を降りた時に、人生の再スタートとして何をしようと思った時、もう40歳をすぎているし、自分のやりたいことをやろうと思いました。

−−大柳さんは「モバイルでも非主流派のゲームが扱えること」が魅力だと言われていましたが、二宮さんにとってコーラス・ワールドワイドの魅力は何ですか?

二宮:自分のやりたいことが、誰に止められることもなく、自由にできることですね。受け身の仕事ではなくて、自分で考えて、どんどんできるわけですから。

モバイルだからこそできる『マッチメーカー』

−−それでコーラスさんが立ち上がるわけですが、個人的に一番印象的だったのが、『キティ パワーズ・マッチメーカー』のリリースなんですよ。たしか、最初に 東京ゲームショウのプレスルームか、Tokyo Indie Festで大柳さんに海外版を見せていただいたんですよね。「今度、こんなの出すんだ」って言われて。

大柳:そうでしたっけ?

−−その時、絵柄を見てすごくビックリして。「売り方も含めて、かなり手を入れるんですよ」と言われたので、ああそうなんだと思って。その後、実際にリリースされて、またビックリしました。全然、絵柄が変わってないじゃんと。

大柳:いやいや、実はグラフィックが日本向けに、ほとんど差し替わっているんですよ。元の絵柄はもっと、きっつい感じだったので、『はーとふる彼氏』のはともあさんに描き直してもらいました。他にも買い切りだったのをF2Pに変更したりと、ビジネスモデルから変えています。

−−なんと、そうだったんですか。でも、それくらい思い入れがあったんですね。

大柳:そうですね。ゲームプレイがモバイルに向いているし、プレイヤーが結婚相談所のアドバイザーになるという設定もおもしろいし、そもそもゲームのイメージキャラクターであるキティって、ゲーム開発者自身なんですよ。リチャードさんといって、男性なんです。

−−ええっ? そうだったんですか。

大柳:作者自らが結婚相談員の役を演じて、ゲームの中に出演していて、世界観の一部になっている。そういうところもおもしろかったですし。あとはLBGTを扱っていて、同性愛・異性愛が関係なく、差別なく扱われている点がおもしろいし。

−−ちょうど任天堂が『トモダチコレクション』の同性婚問題で炎上した頃ですね。

大柳:そうそう。だからこそ、こうしたゲームはモバイルでしか出せないし、モバイルだからこそ、より多くの人に遊んでもらえるだろうし。あとは単純に、ゲーム中の会話がおもしろいし。こういったゲームが世の中に一本くらいあってもいいだろうと。金親はそんなに乗り気じゃなかったんですが、自分が「出すべき!」と押し切りました。

−−簡体字・繁体字も入っていますね。

大柳:そうですね。翻訳もたいへんで、5万文字くらいあったかな。ちょっとしたアドベンチャゲームなみでしたね。

−−余談ですが、中国本土で配信する場合、LBGTというテーマは問題なかったんですか?

大柳:LBGTについては、何も言われませんでしたね。また、オンラインゲームでなければ、F2Pゲームでも事前検閲は不要なんですよ。

−−ちなみに中国配信では、パートナー企業がいたんですか?

大柳:『マッチメーカー』では自前でやりました。ちなみに『The Room』からはGamecomb.comというパブリッシャー経由で配信しています。海 外ゲームに強いパブリッシャーで、EAのタイトルも扱っています。金親のネットワークで契約しました。また、どちらもiPhone版のみで、Android版はリリースしていません。

失敗を恐れず、売れるまで出し続ける

−−そこで肝心な点ですが、『マッチメーカー』の売上はどうでしたか?

大柳:さっぱり売れませんでした(笑)

二宮:コーラス で過去、出したタイトルの中でも、ワースト3に入っていますね(笑)

−−(爆笑)

大柳:まあ、売れた方が良いには決まっているんですが、外れたから責められることはないんですよ。そこが弊社の良いところなんです。実際、誰もが外しまくってますし。

二宮:ああ、だめだったねと言って、反省するだけです。

−−売れる・売れないは、タイミングもありますしね。

大柳:そうですね。それはどうしようもないんですよね。それに、もともとゲームって、出したタイトルのうち大半が外れる中で、いくつかヒットが出て、それでトントンという世界じゃないですか。基本的に自転車操業で、当たるまで出し続けるしかない。

−−実際に自分もコーラス・ワールドワイドといえば、このゲームが浮かびます。「尖ったゲームをローカライズするインディゲームパブリッシャー」というイメージが、このゲームで鮮明になりました。

大柳:ありがとうございます。実際、プレイしていただいた方の評価は高いんです。

−−二宮さんが担当されたゲームは何になりますか?

二宮:先日出た『デ・マンボ』と、『グリフクエスト・クロニクル』ですね。両方ともβからマスターアップまで担当しました。

−−独立して良かったなと思われたことはありました?

二宮:大組織で作るのと違って、待ちの時間がないんですよね。自分が手を動かして、先方に投げて、それを受けてチェックして。時には自分で翻訳することもありました。そんな風に自分が作業をすれば、すぐにフィードバックが返ってくるというのは、この規模ならではだと思います。

−−ちなみに、一番売れたタイトルってなんですか?

大柳:脱出ゲームの『THE ROOM』ですね。『1』が国内300万DLくらいで、『2』がもう少しで100万DL達成です。4年前のゲームですが、いまだに脱出ゲームの中では1,2を争うクオリティだと思います。そこがお客様からも評価いただいていたポイントではないでしょうか。

−−もともと世界中で大ヒットしていたタイトルをアジア向けにローカライズされたわけですよね? なぜ、そんなに定評のあるタイトルが、これまで配信されていなかったんでしょうか?

大柳:うーん、そうはいっても、有料アプリですからね。F2Pのヒットとは額が違いますし。国内大手からしてみれば、わざわざ出す意味がないと思われたんじゃないですか? それよりもガチャで儲けた方が良いですよねという。

−−逆に先方からしてみれば、日本でも売れるはずだと思われたでしょうし。契約で揉めませんでしたか?

大柳:たしかに、ロイヤリティ交渉は強気でしたね。通常のタイトルよりは多めにお支払いしています。

二宮:あとは、先方の会社の窓口担当が、金親とEA時代の同僚だったんですよ。そこが大きかったですね。

−−なるほど。インディゲームの場合は特に、個人的なネットワークがモノを言いますよね。

大柳:ただ、そんな風に個人的なネットワーク頼みで来ているので、そこからどうやって広げていくかが今後の課題になっていますね。

ーー注目しているエリアはありますか?

大柳:我々はこれまでアメリカのゲームを扱っていないんですよ。なので、注目はしています。あとはイギリスが金親のホームグラウンドなので、まだまだ開拓の余地があるでしょうと。同様に欧州は今後も注目していきます。

−−福島GameJamをやっている関係で、チリの開発力向上を肌身で感じています。

二宮:そうですね。南米も攻めようと思っています。

−−ちなみに前述の通り、コーラスさんでは欧米圏のゲームをローカライズして、日本以外にアジア圏でも幅広くパブリッシュされていますね。売上が最も大きい市場はどこですか?

大柳:断トツで中国ですね。課金単価は小さいですが、分母が大きいですから。『THE ROOM』も中国で非常に評価されました。

−−なるほど、そこでも金親さんのネットワークが生きているわけですね。また、尖ったタイトルを自由にローカライズ展開されているようで、ちゃんと儲けるための策が練られていることが、あらためてわかりました。

大柳:まあ、儲かってませんけどね(笑)

『デ・マンボ』を作ったのは素人集団だった!?

−−最新作の多人数対戦アクション『デ・マンボ』についても伺います。Nintendo Switchで先行配信されたんですよね?

大柳:そうですね。もともとPC版とPS4版で出す予定で、2016年のBit SummitでPC版を出展したんですよ。そうしたら、それをたまたま見た任天堂の方から「うちのハードで出しませんか?」とオファーが来て。そこで金親と一緒に東京営業所に行き、そこでNintendo Switchを初めて見ました。

二宮:もともとUnityベースで作られていたので、移植自体は簡単でした。

−−そもそも、開発者はどんな人たちなんですか?

二宮:大学を出たてのインディゲーム開発者集団なんですよ。言ってみれば素人なんです。ロンドンにゲームの開発者が集まるコワーキングスペースがあって、金親の実家がロンドンなんですね。そこに、た、たまたま『デ・マンボ』の開発チームが無料で数ヶ月滞在していて、そこで見つけてきたんです。彼らはホントにお金がなくて、ホテルやレストランのロビーで開発を続けていたくらいです。

−−そこでもまた金親さんパワー。でも、先方にしてみればシンデレラストーリーですよね。一作目が任天堂にフィーチャーされて、Nintendo Switchで出せることになったわけですから。

二宮:それはそうなんですが、半分アマチュアの集団なので、ロットチェック(ゲームを販売するうえでハードメーカーから受ける最終チェック)を通すのが大変でした。いくらインディといっても、任天堂さんからは容赦なく指摘を受けるんです。それらを一つずつ英文に翻訳して、先方にメールするのが大変で。メールしたらしたで、彼らから「直し方がわからない」などの返事が返ってきて。

−−それは……聞くだけで大変ですね。

二宮:それでも、『スプラトゥーン2』が発売される7月までに出そうという目標がありました。おかげさまで6月29日に発売できました。

大柳:任天堂さんからも「早く出せるなら、出した方が良いですよ、タイトルが一杯出ますから」と言われましたね(笑)

他と同じ土俵に乗る必要はない

−−ちなみに、それまでモバイルが中心だったコーラスで、コンシューマ向けのタイトルを扱われるようになった理由は何だったのでしょうか?

大柳:単純にリスク分散です。うちのタイトルは有料ゲームが中心なので、売り先は多い方が良いわけじゃないですか。モバイル中心というのは変わりませんが、PCやコンソールも、手を出せるなら出していこうという思いがありました。

−−Unityで作ってマルチプラットフォーム展開というのは、まさに今の時代に即していますね。ちなみにF2Pが中心のモバイルゲームの中で、有料アプリを中心に扱われているのは?

大柳:うちが扱いたくなるような、尖ったゲームが多いということですね。特に国内ではF2Pタイトルがたくさんありますから、他と同じ土俵に乗る必要もなくて。

−−そもそも、ローカライズされるタイトルの選定はどのように行っているのでしょうか?

大柳:さっきも言ったように、金親が見つけてくることが多いんですが、『マッチメーカー』のように自分がやりたいと言ったタイトルもありますし、いろいろですね。ただ、なるべく他では扱わないような、ユニークなタイトルを出し続けていきたいというのはあります。

二宮:逆に金親の意見がすんなり通るわけでもないし。金親は欧米圏にネットワークを持っていて、僕らは逆にアジアに注目しています。

大柳:そもそも金親のセンスが、我々と合わないんですよ。この前も金親が「これ、どうだろう?」とメールしてきたタイトルに、思いっきりダメ出しをしましたし。だからといって、さっき言ったように、売れないから責められるわけでもなくて。

−−それでは最後に今後リリースされる予定のタイトルや、抱負などがあれば教えてください。

大柳:ゴルフとRPGが合体した『RPGolf』というゲームを予定しています。また、東京ゲームショウ2017のインディゲームコーナー(9ホールB38)にも、新作タイトルを出展予定です。今後も「へんな会社名だけど、とりあえず出ているタイトルは安心して遊べるね」という評価がもらえることをめざして、ユニークなタイトルを出し続けていきますので、宜しくお願いします。

二宮:コーラス・ワールドワイドといえば『THE ROOM』の会社というイメージがあるんですよ。いまだに売れ続けていて、この前も★5の書き込みと共に、「チャプター1を遊んで、どうしても続きをやりたくて、コンビニでプリペイドカードを買いに行って、初めて課金(アンロックして全編購入)しました」という書き込みがあったくらいです。そんな風に誰かの心を動かすタイトルが出せたことは誇りに思いますし、次のヒットを世に送り出していきたいですね。

−−ありがとうございました。


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