ゲームライターになるには?


2017年5月から東京ネットウエイブで「ゲームメディア概論」という授業を担当していることもあり、「ゲームライターって、どうやったらなれるんだろう」という素朴な疑問に立ち返っている今日この頃です。ちょうど2013年9月14日に「ゲームライター座談会inバンタン」というトークイベントを開催したこともあり、当時のスライドを見返してみました。

結論から言うと、まさに千差万別と行ったところです。特に自分の場合を振り返ってみれば、運の要素が大きかったような気がします。ただ、これについては皆さん、同じことを言われるかもしれませんね。。。実際、フリーランスというのは、決まったルートがあるわけではない。気がついたらなっていたという人が大半だと思います。

とりあえず自分の場合でいえば、まずコンピュータ&ゲーム関連の出版社に(零細とはいえ)新卒で採用されたことが大きかったですね。さらに、その出版社でゲーム雑誌を創刊するというチャンスに恵まれたことが大きかった。しかも、そのゲーム雑誌が広告を取らない、レビュー専門の編集方針を掲げていたという……ものすごい幸運だったとしか言いようがありません。

特に広告が入っておらず、余計な雑音をシャットアウトして、自分が考えたことを(当然、編集長の了解が必要でしたが)素直に書くことができたのは、後から考えてみれば非常に大きかったと思います。書いた記事は全て自分の責任に跳ね返ってきたので、いろいろと(ホントにホントに)良い勉強をさせていただきました。

ただ、ゲーム批評(自分が編集者として所属していた雑誌)には創刊から休刊まで、のべ数十人の編集者が出たり、入ったりしていたと思うんですが、そのうち今でも現役でゲームライターをしている人間は、ほとんどいません。ライター以外の仕事を否定しているわけではないので、誤解されたくないのですが、人生ってほんとにいろいろだなーと思います。

実際、ライターってダイエットみたいなものだと思うんですよ。いつ初めても、いつ止めても良いし、それで誰が困るわけでもない。参入障壁がものすごく低いので、どんどん新しい人が入ってくる一方で、続かずに止めていく人もたくさんいる。だからこそ、自分なりに目標や目的意識をもって、こつこつと積み上げていかないと、続けられないんでしょうね。

また、新卒でゲームライターになることが非常に難しくなっています。第一にゲームライターで正社員になる道が、今の日本ではほとんどありません。ほとんどがアルバイトから。よくて契約社員でしょう。もちろん大手出版社は現在も新卒の編集者を採用していますが、昔も今も非常に狭い道であるのに加えて、希望の編集部に配属されるかは運次第というのが実情です。

しかも最近では奨学金をもらって大学や専門学校に通われている学生も増えていますよね。奨学金の返済を考えれば、安定した仕事=正社員希望が増えるのも道理です。ちなみに自分も奨学金をもらっていましたので(おかげさまで完済)、そのへんの事情は良くわかります。であれば、なおさら最初からアルバイトや契約社員という道は難しいですよね……。

同じ問題はゲーム系編集部も抱えているといえます。編集部としては優秀なライターをたくさん抱え込みたい。一方で正社員を雇用できるほど潤沢ではない(そもそも会社は編集者を雇用したいのであって、社員ライターは不要)。そこで実績のあるライターに発注したいが、数は限られている。ゲームライター希望者と編集部のミスマッチが、どんどん広がっているのが現状です。

実際、ゲーム系編集部に限らず、フリーランスに依存する業界は(特に出版業界)、「働き方改革」と、それに伴う学生の正社員指向によって、遠からず全滅するのではないかと思う今日この頃です。そうした中でも「ゲームライターになりたい」「でも正社員が良い」という皆様のために、僭越ながら下記アドバイスをしてみたいと思います。

①出版に限らず、何でも良いので「ゲーム」に関係しそうな職種に就く

②就職した企業である程度の実績をつける

③自分の専門知識を生かしてライターになる

これは裏返して言えば「そこまでしてライターになりたいか」という話でもあります。正直「新卒で正社員でライターになる道はない」という現実を直視するところから、すべては始まると思うんですよ。逆にライターはそれなりの専門性が求められるので、あらゆるキャリアパスの終着駅ともいえます。実際、日本語が書ければライターになれます。続けるのがたいへんなだけで。

まあほんとに、ライターのなり方って千差万別すぎて、なかなか一般論に落とし込めない。ただし、なにかしら道はあると思うんですよね。自分も何か明確なアイディアがあるわけではありませんが、今日をしっかり生きることが明日の希望につながる。「偶然をチャンスに変える生き方が好きよ」byムーンライト伝説ということで、皆様がんばってみてください。

 


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