明日から冬コミという絶妙なタイミングですごいリリースが出ました。Webメディア「はちま寄稿」をDMM.comが2016年1月に買収し、10月に他企業(インサイト)に売却していたという内容です。
本件に関して「ねとらぼ」が速攻で「まとめサイト『はちま起稿』、DMM.comが運営していたことが判明」と題した記事を公開しています。ねとらぼではこの問題について12月上旬から取材を続けていたとしており、今後の記事公開が待たれます。
ちなみに「はちま寄稿」を含む、いわゆるゲハブログ問題については、ゲームライターコミュニティ第10回勉強会(2016年6月20日)でも取り上げており、参加者間で熱心なディスカッションが行われました。これまで議事録はFacebookのグループページで共有されていましたが、この度あらためて本ブログでも公開することにしました。
なお、文中に「ねとらぼも、ほとんどよそでバズっているネタをもってきて記事にしている。ゲハブログとねとらぼの違いは何か?」とありますが、ねとらぼは調査報道を行う硬派なニュースサイトであることを、内外に知らしめたといえます!
なお、固有名詞や人名がバシバシ出てきますが、基本的にラウンドテーブルの議事録ですので、それぞれの発言者の主観に基づくものであり、必ずしも正確ではない内容も含まれているとご理解ください。議論の内容がよくわかって生々しいので、そのままアップしました。
・ゲハブログにまつわる問題は大きく「バイラルメディアに普遍的にみられるもの(無断転載、過度な記事引用など)」と「ねつ造によりPVを意図的に吊り上げている」点の二つにわかれる。
・パクリはゲハブログだけの問題ではないが、普通の普通のニュースサイトであれば、記事がパクられたら訴えたり、クレームを入れたりする。無断転載何も言わない方に問題があるのではないか。
・グノシーのように出典元と契約するキュレーションサイトもある。それ自体を否定するのは違うかなとも思う。
・ねとらぼも、ほとんどよそでバズっているネタをもってきて記事にしている。ゲハブログとねとらぼの違いは何か?
・パクリとは本文などを全部コピペする行為。ねとらぼは引用のレベルに留まっている。
・ニュースは毎日消費されていくものなので、3日もたてば価値がなくなってしまう。そのため無断引用する側からすれば「乗せ逃げ」が簡単にできる。引用される側からしても、面倒くさがって編集がやってくれないことが多い。
・最低でも掲載を取り下げてくれということは言わないといけない。パクられようがなんだろうが、読者に届けられないお前が負けだといういい方もできる。
・記事転載を消させたことがある。
・ファミ通ドットコムでは、記事の無断転載を見つけたら法務を通して消すように対処している。
・最近、自分が手がけた攻略本のデータを、そのゲームの最大手サイトが完全にパクったので、編集に削除依頼を出すように打診した。ところが編集側ではメーカーの意向を聞いてから対処することになり、メーカーとしては「どうでもいい」という対応だった。そのため、結果的に記事削除依頼が出されることもなかった。結局、編集部が何もやっていないのが悪いのではないか?
・パクられた時の対応で、ファミ通ドットコムのように法務がしっかりしている組織で、編集が丸投げできればエネルギーがかからない。それに対して編集がやらないといけない場合は、仕事が増えてしまう。提訴となれば相当めんどうくさい。
・図表などで著作権表記がされていない場合、会社として指摘しづらい傾向にあるようだ。著作権表記はあらゆるものに発生するとはいえ、どうしても会社全体でやりづらい。
・無断引用を指摘するだけで、めんどくさいしコストがかかる。昔のドラマで権利元をいちいち探すのがめんどくさいため、販売されないのと同じ構造になっている。
・著作権法は親告罪なので訴えない限り法に触れない。
・読者的にも現状が良いのかどうかわからないところがあると思う。バイラルメディアが流行っていて、みなそういうものだと思っている。時流にのらないと生き残れないニュースサイトも多い。
・TPPで無断引用などを第三者が警察に訴えることが可能になる。二次創作文化への影響が懸念されているが、ことゲハブログ問題に関して言えば、ゲハブログをよかれと思わない第三者が警察に訴えることが可能になるため、一気に沈静化するのではないか?
・二次創作についていえば、初音ミクのコンテンツがうまくやっている。ガイドラインの明文化を行わないメーカーは、今後対応をせまられるかもしれない。
・Ingressはメルカリと提携していて、Ingressのキャラクターを個人で作って自由にメルカリで販売できる。その際に10%の手数料を得るシステム。ナムコもカタログIPプロジェクトを行っている。
・TPPが締結されたあとに警察にちくればいい。
・ゲハブログはあれだけPVがあるのにもったいない。ちゃんとしたニュースサイトになればいいのにと思う。
・今までのメーカーがまともだったのかというと、そうではない。ゲハブログがメーカーチェックの外にいること自体には価値がある。
・ちゃんとしたニュースサイトになるのかといえば、ならないと思う。今後もゲリラでやっていくのではないか。
・ゲハブログがPVを稼ぐ手段に、わざと間違った情報をのせるということがある。一方で過去黒いことをやっていたゲームメーカーも山ほどある。狸と狢の関係でしかない。
・写真に掲載でリンクを貼る場合、パクリ対策のために普通の画像をのせておき、パクられた瞬間にグロ画像にかえるなどをやっているサイトもある。その上で自分のところは同じURLで違う写真をのせている。
・ゲハブログ叩きは既存ニュースサイトへの批判にならざるを得ない。両者はコインの裏表の関係。
・現在グレーと言わざるを得ないゲハブログが漂白されるのか? それとも大手ニュースサイトがゲハブログ並にバズれるサイトになるのか? いまマスコミで一番影響力があるのは週刊文春。ファミ通が文春みたいなサイトを作ってもいい。
・正直にいって、ゲームサイトは読者ではなくメーカーの方しか見ていない。ゲハブログは自分たちの読者にきちんと向き合っている。それではPVが稼げるわけもないし、PVが稼げなければ影響力も持てない。
・4gamerはその角度で切り込んでいった 彼らがコンシューマの情報を扱い始めた時、ゲーム会社の中には業界ルールに縛られない4gamerのことを敬遠するむきもあった。しかし、結果的に4gamerが一番PV数を稼いでいる。PCゲームだけの時代より、明らかに稼げるサイトになった。
・昔のファミ通もクロスレビューを始めた頃は圧倒的に強かった。ファミ通が売れていたから、そうした企画が許されていた。今ははちま、JINがかわりにやっている。
・電ファミニコゲーマーはどうなのか?
・電ファミニコゲーマーは記事を誘導するだけで、やり方としてはスマート。いってみれば保険の販売代理店のようなもの。特定の会社の保険だけでなく、さまざまな会社の保険商品を横断的に扱うことで成長した。電ファミも書くニュースサイトの記事を横断的に調べられる。
・キュレーションメディアは今後力をつけるかもしれない。
・ただしキュレーションサイトは運営が難しい。Googleの検索エンジンの特性で、二次コンテンツは検索しても上がってこないようになっている。SEO対策をはじめ、Googleの存在を考慮にいれるべき。
・キュレーションサイトにキュレーターがいないことが問題。ホントのキュレーターをきちんと育てるべき。そうすることで、キュレーションメディアの意味が出てくる。
・スターキュレーターが必要。美術館や博物館は常設展があって企画展がある。企画展はキュレーターが管理をして企画を立てている。それくらいの能力が求められる。
・キュレーションという意味では、ゲハブログの「バズりそうな記事」を見つけてくる嗅覚はすごい。
・E3のメディアカンファレンスのまとめ方がうまい。他でも真似すれば良いのにと思うが、インフラ側の都合でできなかったりするようだ。
・ゲハブログの読者コメントを読むのがおもしろい。概してコメントをつけやすい記事になっている。大手は荒れるのを恐れてコメント欄を閉鎖している。
・ゲハブログと自社サイトでは客層が違うので、正直にいってあまり意識をしていない。お客さんをとられている感じがしないし、記事の検索で超えられたこともない。
・記事を取り下げさせるのも簡単で、メール1本で向こうは取り下げてくる。特にJINはお抱えの弁護士がついている。訴えられたら負けるとわかっているので、簡単に取り下げる。
・記事ねつ造と違ってパクリは証拠がある。
・記事を取り下げさせるのは、めんどくさそうだというイメージがある。実際は取り下げさせるのは簡単だし、無知ゆえにパクっている人たちもいる。そういう人たちはメールをすると素直に謝ってくる。
・パクられた時のために、1pvあたりいくらみたいに書いておくといい。それによって損害賠償が請求できる。
・記事をパクられたからニュースサイトがつぶれるわけではない。ほんとにそれが原因で収益がなくなるのだとすれば、編集がしょぼい。
・ライターが作ったコンテンツを編集が大事にしてくれないのではないとしたら、それでいいのか?
・パクリブログ専門の広告代理店があるとはいえ、広告のほとんどはミスタップを狙ってはられている。広告単価が低いので、PV数ほどには収益が高くないのではないか?
・最近はバナー出稿でお金がとれることはすくない。クリック単価は1−2円で、相応のpvがないと死んでしまう。そんなにもうかっていないのではないか?
・少ない人数の集団がプライドを捨てて食べていくのなら問題はない。とはいえ管理人が10年後どうやって生きていくのか、人ごとながら不安になる。
・読者の質や層はどうなのか。ゲハブログを読んで喜んでいるのは、実はゲームファンではないのではないか? エンタメとして記事を読んでいるだけで、彼らはゲームを買ったり遊んだりするわけではないのではないか?
・アフェリエイトもゲームソフトが少なめで、むしろセクシーグラビアDVDなどが多い。
・1億pvとはいいつつ、ゲームの記事でpvがのびにくくなっているのは事実。
・目先のpv数に踊らされてメーカーがタイアップを出しているのはもったいない。
・スマホゲームの作り手側からすれば、ユーザーがゲームをやっていた人間ではない。そのためファミ通に出稿するよりも、ゲハブログにバズられるようなネタを考えろといわれる。どちらが先か後か・・・
・ビジネスモデルがF2Pになってから、パブリッシャーもDL数しか見ていない。コンソールとソーシャルでは作っている価値観が違ってきている。大手のスマホの人たちは開発も広告も全然考え方が違ってきている。
・過去ゲームに限らずそういう成長を続けてきた産業は必ずほろびる。
・世の中がそうした情報を求めている。ゲーマーというよりYouTubeユーザー。
・ゲハブログは法人が個人っぽくやっているのが問題。
・メーカーがオウンドメディアを立ち上げて独自に情報発信をやるしかない。
・日経の飛ばし記事に対して、任天堂がその都度反論をしている。大手ですら、そうした飛ばし記事を書いている。マスコミはそういうもんだろという認識が出てきている。
・日経に比べれば、JIN・はちまは可愛いもの。
・バイラルメディア全体が大嫌い。
・メディアも95%はもうからないのでたたんでいる。今は一時よりも減っている。
・ゲハブログは表からは見えないが、裏でスタッフをたくさんかかえている。
・ゲハブログは読者の側によっている。メーカー側に立っているメディアばかりだからこそ、ああいったメディアが生き残れている。
・自分たちの読者に対してすごくサービスをしているし、みやすい。
・間違った情報をおかまいなく載せていくのはよくない。
・読者の質、層が違う。
・ゲーム開発者がよく読んでいて、すごく影響を受けている。NXがサードパーティに開発機材を潤沢に供給していないという記事があり、開発者の中で話題になっていたが、すでに供給を受けている側からすれば、否定も肯定もできない。
・会社の外の情報が見えなくなっている人たちほど影響を受けやすい。子供だったり、ゲーム開発者だったり。
・中には虚構新聞がけしからんというコメントを書く人もいる。意味がわかっていない人が結構多い。
・ゲハブログの情報でグループ会社の問題が書かれて社内で炎上したことがあった。
・見出しだけで見てしまうので、役員とかになるとリテラシーが実は低い。
・天野喜孝がファイナルファンタジーの絵を書いてそれがひどすぎたが、ファミ通の記者は絶賛していた。みな提灯記事ばかりとわかっている。
・雑誌は販売収入と広告収入の二階建て。今は広告収入のみ。
・週刊文春がヒットを連発できるようになったのは、AKB48のスキャンダルに切り込んだから。他は事務所との関係を恐れて書かなかった。
・広告だけのビジネスモデルでは内容に限界がある。
・ホリエモンのメルマガは1ヶ月1千万円の売上がある。
・ゲームユーザーはお金を持っていないのがネック。
・ゲハブログは見出しは間違っているが、実は中身はあっているのがほとんど。
・大手のニュースサイトでも「金本3億円記事詐欺」などと、実際は被害者なのに、いかにも加害者のような見出しをつけている。ゲハブログレベルのことは、大手メディアでもやっている。
・ゲーム開発の現場では、プロデューサー、ディレクター、外注のそれぞれで情報共有されていないため、開発者が恒常的にストレスを抱えている。昔からファミ通を読んで仕様を知るといったことがある。
・Googleのサーチコンソールチーム曰く、「まとめサイトは文化」だといっていた。日本人はまとめたり、簡略化したりするのが得意。Googleが認めている以上、まとめサイトはなくならない。
・痛い目にあった開発者も、つい他の記事を読んでしまう。
・なぜもともとの記事を読まないのかというと、大手のサイトは読みにくいものが多い。UIがテコ入れできない。読者に向いていない。
・読みやすいのはすごい。開発者は息抜きのためにニュースサイトを読む。さっと情報を得て納得したいだけ。そのため自然にゲハブログを開いてしまう。
・ゲハブログに学ぶUI/UX。
・上から順番に減っていって、下から順番にシンパが増えていく。
・ゲハブログのカウンターを作るしかない。電ファミニコゲーマーのすごいところは、「ゲームの企画書」など、今までできなかったようなコンテンツも作っている。
・浜村さんをはじめ、編集側のレジェンドががんばった。
・インタビューの人選の第一基準は「ダメ元」
・人のつながりで対談をとる。遠藤さん、田尻さん、杉森さん。これは編集として普通のこと。
・電ファミニコゲーマー サイトとしてのブランド力を高める 次のステップ
・ネットで受けるのはよっぴーやロケットニュース。大竹まことのPCエンジンのテレビ番組では、ゲーム以外の話もいっぱいしていた。
・カウンターとしてヒカキンのようなゲーム実況番組もある。
・ちゃんとしたサイトを育てるべき。
・まっとうなニュースサイトが少なく、特にスマホゲーム側では、きちんと自社コンテンツをPRできる場がないことに危機感を感じているところもある。王道こそすべてで、まともにコツコツやっていくだけ。
・どのサイトも短期的なことしか考えていない。ドワンゴの川上さんが、面白いことをやっていれば、来年会社がなくなってもいいといっていた。ドワンゴの新入社員募集の記事で、会社理念について聞いたインタビューで、そういうことを言ってしまうほど。
・最近のウェブメディアはサイトのトップページに来る人は少なくて、みなSNSでリンクを辿って読みに来る。そのためメディアの中で流入してくれる人が少なく、ブランドが作りにくいところもある。
・いいものを作ってサイトのブランド力を上げていくしかない。
・自分が雑誌をやっていた頃は名物ライターを押し出していた。ウェブに移った時もそれをやろうとしたが、難しかった。個性的なライターが減った。
・雑誌は直しが入って、メーカーから怒られて、個性がへった。
・編集が編集の仕事をしていない。
・依頼して書いてもらった原稿がパクリ原稿だった時が一番驚いた。