ありがたいことに東京工芸大学の岩谷徹先生の授業で毎年1回、ゲスト講師に呼んでいただいています。今年は5月に1~2年生向けに講義をさせていただいたのですが、1月11日に急遽ご指名がかかりまして、今度は3年生向けに授業をしてきました。事前に国内外の事例などを紹介して欲しいという依頼がありましたので、ちょうど直前に島根県立大田高校で行ったIGDA日本のワークショップとからめて、スライドのような内容にしてみました。
この資料をまとめるにあたり、いろいろとおもしろい気づきがありました。日経新聞がまとめた「人口減少地図」はそのひとつです。日本全国おしなべて人口が減少傾向にあるのは明らかなんですが、その中でぽつん、ぽつんと人口が増加傾向にある(=若い女性が増えている)自治体があります。その、どれもが数千人規模の小さい自治体なんですよね。こうした自治体にはどういった共通項があるのか、がぜん興味がわいてきました。
まあ、母集団が小さいので、ちょっとの移住で大きく変更する点はあるでしょうし、そもそも周囲の自治体から移住しているストロー現象があるのも確かだと思います。ただ、小さい自治体ほど小回りが効いて、いろいろ思い切った施策ができるのではないかなあ……という印象があります。先にワークショップをやった岡山県高梁市もその一つで、2015年に市役所でゲームジャムを開催したのは、日本でおそらく初めての試みではなかったかと思います。
まったく話は変わりますが、NHKのどじまんが盛りあがるのは数万人規模の地方都市会場なんだそうです。お互いがお互いを知っていて、人間関係が密だから、「どこそこの誰それは鐘が3つだった」なんて盛りあがる。これまで取材した海外事例でも、ゲーム産業支援がうまくいっているのは、どこも都市単位という印象がありました。インターネットで距離の制約がなくなりつつある中、地方都市が頑張りつつある……そんな印象を受けています。
授業ではゲームジャム高梁2018で開発された「PITTANKO TAKAHASHI」を紹介しましたが、こんなふうに「おらが町」をアピールするようなゲーム作りというのは、けっこうおもしろいテーマではないかと思います(アオモリズムなんてのもありましたね)。ゆるキャラ選手権のように、47都道府県で地元をテーマにしたゲームを作ってネットに公開し、人気投票を行うなどの試みがあると、ますます盛りあがるのでは……そんな風に妄想してしまいました。