ゲーム系ウェブメディアであるSQOOL.NETのこれから~ゲームライターコミュニティの運営を抜けるにあたって


SQOOLの加藤です。
この度、ゲームライターコミュニティの運営を抜けることとなりましたので、皆様にご報告申し上げます。

さて、最後に、私のゲームライターコミュニティでの活動を振り返りながら色々と書いてみたいと思います。

ゲームライターコミュニティに参加したのは2015年からですが、運営として関わったのは2016年からでした。

「SQOOL」のゲームライターコミュニティへの参加につきまして 

元々はゲームメディアとして、ライターさん達がどのような環境で何を考えているのかを知りたいという目的で参加していました。その先には「メディアとライターがお互いに儲かる運営を模索する」という目的もありましたが、2年ほど経ってゲームメディア界隈は大きく変わりました。この期間にSQOOL.NETのサイトの名称も「ゲーム攻略!SQOOL.NET」から「SQOOL.NETゲーム研究室」に変更されました。

この2年間でのゲームメディア界隈の大きなニュースは、私の見解ではソシャゲのピークアウトと、パクリ問題ではないかと思います。

非キュレーションメディアはなぜキュレーションメディアに勝てなかったのか

編集はライターの夢を見るか?ゲームメディアの中の人が2017年を振り返ってぶつぶつ言う

この2つの問題は実は密接に関連しており、ソシャゲの爆発的な成長の恩恵に与ってきたゲームメディアは、その成長の鈍化と停滞により収益性に問題を抱えるところが多くなってきました。閉鎖するゲーム関連メディアも多い中、安くコンテンツを量産することでとりあえずの危機をしのごうとするメディアもあり、大手攻略メディアの記事パクリ問題が表面化したこともありました。

加藤がゲームライターコミュニティの運営として活動してきた約2年間は、どちらかというと右肩下がりの混乱期で、地合いが良くなく、開催したかった勉強会のいくつかは実施できませんでした。

その中の1つに「ゲームメディアの編集を呼んで、メディアとライターとのあるべき関係を協議する」というものがありましたが、声を掛けようと思っていたゲーム系メディアが閉鎖してしまうなどもあり開催には至りませんでした。
個人的には、あまり横のつながりがないゲームメディア同士を繋いで、ノウハウの交流などが図れれば、メディアの生き残りにも多少良い影響があるのではないかとも思っていましたが、残念ながらそれができぬままにレビューサイトを中心にメディア淘汰の嵐が吹き荒れ、開催するタイミングを逃してしまいました。

そんな中でも、広告ネットワークとライターさんとを繋げたいという目的はある程度達成することができました。アドネットワークのnend、i-mobile、AppLovinから各担当者お招きしての勉強会をそれぞれ実施することができました。

登壇していただいたnendの京極(左)さんと森田さん(中)

ゲームライターコミュニティ #12「ネットワーク広告について学ぼう」(10/24)
※nendさんの回。残念ながらレポート記事がありません。このころはまだレポート記事という運用ができていませんでした。

i-mobileの早瀬さん(左)と、JOEの石川さん(右)

ゲームライターコミュニティ16「動画広告の今」レポート
※i-mobileさんには勉強会の2回に1回くらいの割合でセミナールームを貸していただいています、ありがとうございます。

AppLovinの坂本さん

【レポート】#20「世界を目指せるカジュアルゲームとは?良いゲームって何?モバイル編」

広告ネットワークとゲームライター界隈は実はほぼ接点がなかったのですが、ともにゲーム開発事業者&ウェブメディアを取引先とする業態であるだけに、繋がりを持っておくのはお互い良いだろうという意図がありました。
また、ゲームとメディアの収益構造の一部を理解しておくことは、ライターさんが仕事を進めるうえで必ず役に立つだろうとも考えました。

ゲームメディアの収益源に関する関連記事
ゲームサイトはどうやって儲けているの?収益化の代表的なパターン 

最近ではeスポーツ関連の知見を広めたいという目的で、プロゲーマーさんに登壇いただく会を実施したりしましたが、

プロゲーマーの あばだんご氏(左)と、eスポーツ大会運営事業者グループシンクの松井氏(右)

ゲームライターコミュニティ #23「eスポーツ大会の取材ノウハウ徹底公開」レポート【前編】 

ゲームライターコミュニティ #23「eスポーツ大会の取材ノウハウ徹底公開」レポート【後編】 

夫婦でプロゲームプレイヤーとして活躍しているチョコブランカ選手(左)と、ももち選手(右)

第25回勉強会「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」レポート

出演の打診やテーマについての事前準備などをやらせていただき、大変貴重な経験を得ることができました。これからの産業であるeスポーツにメディアやライターはどのように寄り添っていくべきかという趣旨の勉強会は、まさにゲームライターコミュニティならではの良い取り組みだったのではないかと思います。
ゲームライターコミュニティではおそらく今後もeスポーツ関連の勉強会を開催すると思いますので、是非このサイトやFacebookページなどでチェックしていただければと思います。

(他にも色々な方にご登壇ご協力いただきましたが、全てご紹介できずに申し訳ありません)

さて、加藤のこれからについて少し。

前述の通りゲーム系のウェブメディアは淘汰が進み、ずいぶんと数が減ってしまいました。現在残っているメディアも決して安泰というわけではなく、まだまだ改革を進めていかなければなりません。

私が運営するSQOOL.NETも、ゲーム攻略メディアから路線を変え、情報メディアへと作り替えてきました。しかしゲーム系情報メディアへ転身するだけで良しということはなく、更に独自の価値を求めて次へ進んでいかなければならない状況にあります。端的に言えば使える時間が無くなってきました。私がゲームライターコミュニティの運営を抜ける直接的な理由は、そういうわけでとても忙しくなってしまったからです。

で、今後何に時間を使っていくのかというと、「海外」と「革新(保守の反対)」。

「日本のメディアは保守的だからね」

というのは台北ゲームショウのプレスルームでの要人の囲み取材で聞いたセリフ。
日本のゲームメディアである私にとってはショックでした。
同時にそれは、私がゲームメディアやゲームライター界隈に感じていたことでもありました。紙の時代の文化を引き継いでいるだけに、ゲーム系と言えどもメディア界隈は保守的な面がちらほらとみられます。

この評価を変えていくのは紙やTVではなく、新参者のウェブメディアの仕事でしょう。

海外の評価が大事、海外に出ていくことが大事、ということではありません。
日本のゲームに対する世界からの現在の評価は正当ではないと思うのです。日本のゲームは結構すごい。でも何というか、日本人的奥ゆかしさで目立ってないのが私としては悔しい。もっといけるのに・・・!この開発者さんは本当はもっと儲かるし、そうすればもっといいゲームを作ってくれるはずなのに!

このあたりの問題解決を、私としては新しいメディアの価値にできないかと思っています。

日本のゲーム開発者が海外に出ていきやすいように情報を発信し、或いは直接的なサポートも行いながら、また自らもゲーム開発事業についての知見を深めて実例を積むこと、当面SQOOLはそっちを目指して走ってみたいと思っています。
人気ゲームの情報を伝えるだけではなく、動くハブとしてあり続けるように、しばらくは事業の再構築に没頭します。
※この辺一緒にやってみたいという、特に若手の方、小さなことからでも良いので何かあれば是非ご連絡ください。単純に「海外にゲーム出してみたいっす!」でもOK。お金くれる方も大募集中。

というわけで、加藤のゲームライターコミュニティでの活動は以上になります。

ゲームライターコミュニティは今後も活動してまいりますので(そして加藤も取材に行くと思いますので)引き続き皆様ご支援くださいませ。

ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう~


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